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こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。
本記事では、ビザ(VISA)について現状の簡単な財務分析とそれに基づく10年後の株価予想をご紹介します。
クレジットカード、デビットカード、ATM、電子決済サービスなどの手数料で安定的に稼ぐビジネスモデルで、世界中に広く展開しています。
注目すべき点は、主に以下の3つです。
では、次に財務情報を見ていきましょう。
電子決済、クレジットカードの世界的な拡大を受け、売上高、純利益は綺麗な右肩上がりです。
それに伴い、売上高成長率も7%~21%の高いレンジを維持しております。
高収益とはまさにこういうことではないでしょうか。
2018年の粗利益率は約81%(!)、営業利益率が約63%という文句の付けようのない素晴らしい数字です。
そのうえ、トレンドも過去から緩やかに微増が続いております。
例えば、日本を代表するトヨタの粗利益率は約23%、営業利益率は約8%台ですから、ため息しかありませんね。
設備投資にほとんどお金がかからず、営業キャッシュフローがほぼそのままフリーキャッシュフローになる潤沢なキャッシュフローであることがわかります。
バフェットの言うところの競争優位性のある優良企業の典型ではないでしょうか。
自社株買いにより2009年時点から2018年時点で株数は約25%減少しています
稼いだキャッシュの振り向け先は、自社株買いだということがよくわかりますね。
ビザのアニュアルレポート(10-K)によれば、2018年は一株平均124.25ドルで総額約71憶ドルの自社株買いを実施したとのことですので、その規模が伺えるのではないでしょうか。
なお、参考までに配当金額については、2018年は総額約19憶ドルの配当金を株主へ還元しております。
莫大な自社株買いにも支えられて、右肩上がりのきれいなEPSとなっております。
5年平均のEPS成長率です。
2014年~18年では約14%~28%の間にあり、とても高いレンジをキープしています。
ここ5年のトータルリターンは19.39%、10年のトータルリターンは26.35%です。
ここ10年は素晴らしいリターンだったことがわかります。
当然ながら市場平均(13.27%)もアウトパフォームしています。
データは、先程のEPS(実績)に近似線を入れたものです。
これをみると、過去10年は1年あたり約0.34ドルのペースで増加していることがわかります。
このペースが今後も続くと仮定して、今から10年後のEPSを計算すると、2029年のEPSは約7ドル になります。
さらに、2029年の米国長期金利(10年)を約3%と仮定し、金利から株価を割り戻すと予想株価が、約233ドル(=7ドル÷3%)と計算できます。
現在の株価が、約142ドルですから、10年後にはおおよそ1.6倍(年平均成長率(CAGR)で約4.5%相当)になるという計算になります。
【補足】
VISAは、収益性がとても高い安定した銘柄のため、「債券的な株」という見方もできます。
そのため、「債券的な株」とみなす場合には上記のようなラフな計算方法でもそれほど間違いではないかなと思っております。
さて、10年で1.6倍というパフォーマンスは、ピカピカな財務に素晴らしいビジネスモデルのVISAにしては、ちよっと物足りないともいえます。
恐らくこれは、現在の株価のバリュエーションがあまり割安でない(適正価格)ということの裏返しなんだと考えています。(まあ、年平均成長率が4.5%もあれば個人的には満足ですが、、、)
参考までに現在のEPS(4.42ドル)を現在の長期金利(2.7%)で割り戻して、今の株価水準を計算してみると約163ドル(=4.42÷2.7%)となり、2月5日現在の株価(140ドル)とそれほど開きがなく、ある意味適正で、それほど割安ではない事がわかります。(つまり、バフェットの言うところの「安全マージン」がほとんどない。)
そのため、アマゾンやグーグルなど既存ビジネスと親和性の高い他業種巨大企業が虎視眈々と狙っていることもいうまでもないでしょう。
さらに、ここのところ急成長している仮想通貨のような全く新しい決済手段に取って代わられるリスクもゼロではありません。
しかし、これらの懸念はあるもののVISAはこれまで膨大な投資をして強力なブランドを築き上げてきたわけで、今後10年でこれを打ち負かすほどの企業が現れるのかと言われると、現実的にはかなり難しいのではないかと思います。
容易に決済でき、悪用された場合も補償をしてくれ、国内だけでなく国際的にも広くブランド認知されている決済ツールがビザやマスターカードなのではないでしょうか。
今のプラスチックのカードは恐らく姿を消すかもしれませんし、決済方法にも多少の変更はあるかもしれません。
ただ、個人的には10年後もVISAで普通に買い物していると思いますし、QR決済が普及し世界標準の決済アプリができたとしても、表面上に現れないだけで、アップルペイのように本質的にはビザなどの決済インフラ上で決済していることになると思っています。
結果としては、10年後におおよそ1.6倍程度というやや控えめなところに収まりました。
※あくまでまで個人的な予想なので、何の保証も有りませんが。
なお、現時点ですでに株価に割安感はほぼありませんから、そこから1.6倍(年率4.5%)であれば十分満足できる数字とも言えるかもしれません。
今後については、新たな革新的技術の登場によってVISAを脅かす企業が登場する可能性もゼロではありませんが、現実的には非常に低いと考えます。
いずれにしても、投資する際はこの辺りを見極めながら投資して行きたいですね。
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ポイント
- VISAの10年後予想株価は約1.6倍の233ドル
- VISAの強力なブランドを打ち負かす企業が今後10年で現れるのかと言われると、現実的にはかなり難しい。
こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。
本記事では、ビザ(VISA)について現状の簡単な財務分析とそれに基づく10年後の株価予想をご紹介します。
◆ビジネス概要
VISAは世界一の決済ネットワーク会社で、クレジットカードの決済手数料とライセンス料が主な収益元です。クレジットカード、デビットカード、ATM、電子決済サービスなどの手数料で安定的に稼ぐビジネスモデルで、世界中に広く展開しています。
注目すべき点は、主に以下の3つです。
- 市場は大手数社で国際的に寡占されており、参入障壁が非常に高い。
- VISAのブランドイメージ、信頼性、安全性、ビジネスモデルはすでに確立されている。
- 新たな設備投資が殆ど必要なく非常に高収益である。
では、次に財務情報を見ていきましょう。
◆VISAの財務分析
■売上高
■売上高成長率
■純利益
電子決済、クレジットカードの世界的な拡大を受け、売上高、純利益は綺麗な右肩上がりです。
それに伴い、売上高成長率も7%~21%の高いレンジを維持しております。
■粗利益率、営業利益率
高収益とはまさにこういうことではないでしょうか。
2018年の粗利益率は約81%(!)、営業利益率が約63%という文句の付けようのない素晴らしい数字です。
そのうえ、トレンドも過去から緩やかに微増が続いております。
例えば、日本を代表するトヨタの粗利益率は約23%、営業利益率は約8%台ですから、ため息しかありませんね。
■キャッシュフロー
設備投資にほとんどお金がかからず、営業キャッシュフローがほぼそのままフリーキャッシュフローになる潤沢なキャッシュフローであることがわかります。
バフェットの言うところの競争優位性のある優良企業の典型ではないでしょうか。
■株数
自社株買いにより2009年時点から2018年時点で株数は約25%減少しています
稼いだキャッシュの振り向け先は、自社株買いだということがよくわかりますね。
ビザのアニュアルレポート(10-K)によれば、2018年は一株平均124.25ドルで総額約71憶ドルの自社株買いを実施したとのことですので、その規模が伺えるのではないでしょうか。
なお、参考までに配当金額については、2018年は総額約19憶ドルの配当金を株主へ還元しております。
■EPS(1株当たり純利益)
莫大な自社株買いにも支えられて、右肩上がりのきれいなEPSとなっております。
■EPS 成長率(5年平均)
5年平均のEPS成長率です。
2014年~18年では約14%~28%の間にあり、とても高いレンジをキープしています。
◆VISAのこれまでのトータルリターンは?
ここ5年のトータルリターンは19.39%、10年のトータルリターンは26.35%です。
ここ10年は素晴らしいリターンだったことがわかります。
当然ながら市場平均(13.27%)もアウトパフォームしています。
◆VISAの10年後の株価は?
ここのところやや調整気味のVISAの株価ですが、果たしてこの先はどのようになるでしょうか?■EPS + (線形)近似曲線
データは、先程のEPS(実績)に近似線を入れたものです。
これをみると、過去10年は1年あたり約0.34ドルのペースで増加していることがわかります。
このペースが今後も続くと仮定して、今から10年後のEPSを計算すると、2029年のEPSは約7ドル になります。
さらに、2029年の米国長期金利(10年)を約3%と仮定し、金利から株価を割り戻すと予想株価が、約233ドル(=7ドル÷3%)と計算できます。
現在の株価が、約142ドルですから、10年後にはおおよそ1.6倍(年平均成長率(CAGR)で約4.5%相当)になるという計算になります。
【補足】
VISAは、収益性がとても高い安定した銘柄のため、「債券的な株」という見方もできます。
そのため、「債券的な株」とみなす場合には上記のようなラフな計算方法でもそれほど間違いではないかなと思っております。
さて、10年で1.6倍というパフォーマンスは、ピカピカな財務に素晴らしいビジネスモデルのVISAにしては、ちよっと物足りないともいえます。
恐らくこれは、現在の株価のバリュエーションがあまり割安でない(適正価格)ということの裏返しなんだと考えています。(まあ、年平均成長率が4.5%もあれば個人的には満足ですが、、、)
参考までに現在のEPS(4.42ドル)を現在の長期金利(2.7%)で割り戻して、今の株価水準を計算してみると約163ドル(=4.42÷2.7%)となり、2月5日現在の株価(140ドル)とそれほど開きがなく、ある意味適正で、それほど割安ではない事がわかります。(つまり、バフェットの言うところの「安全マージン」がほとんどない。)
◆この先10年、VISAは安泰か?
決済インフラはVISAだけでなく他のマスターカードなども高収益であり、旨味のあるビジネスであることは間違いありません。そのため、アマゾンやグーグルなど既存ビジネスと親和性の高い他業種巨大企業が虎視眈々と狙っていることもいうまでもないでしょう。
さらに、ここのところ急成長している仮想通貨のような全く新しい決済手段に取って代わられるリスクもゼロではありません。
しかし、これらの懸念はあるもののVISAはこれまで膨大な投資をして強力なブランドを築き上げてきたわけで、今後10年でこれを打ち負かすほどの企業が現れるのかと言われると、現実的にはかなり難しいのではないかと思います。
容易に決済でき、悪用された場合も補償をしてくれ、国内だけでなく国際的にも広くブランド認知されている決済ツールがビザやマスターカードなのではないでしょうか。
今のプラスチックのカードは恐らく姿を消すかもしれませんし、決済方法にも多少の変更はあるかもしれません。
ただ、個人的には10年後もVISAで普通に買い物していると思いますし、QR決済が普及し世界標準の決済アプリができたとしても、表面上に現れないだけで、アップルペイのように本質的にはビザなどの決済インフラ上で決済していることになると思っています。
◆まとめ
今回はVISAのビジネス概要と財務を振り返り、そこから10年後の株価を予想してみました。結果としては、10年後におおよそ1.6倍程度というやや控えめなところに収まりました。
※あくまでまで個人的な予想なので、何の保証も有りませんが。
なお、現時点ですでに株価に割安感はほぼありませんから、そこから1.6倍(年率4.5%)であれば十分満足できる数字とも言えるかもしれません。
今後については、新たな革新的技術の登場によってVISAを脅かす企業が登場する可能性もゼロではありませんが、現実的には非常に低いと考えます。
いずれにしても、投資する際はこの辺りを見極めながら投資して行きたいですね。
ご一読くださりありがとうございました。
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