ポイント
- EPS成長率を15%と仮定した場合の2028年の予想株価は、PER上限では335.9ドル、平均では262.6ドル、下限で205.8ドル
- 現在の株価に割安感はないが、今後の成長を見込んだ場合はまだ投資妙味はあるか
こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。
今回は、ペイパル・ホールディングス(PYPL)について10年後予想株価を考えてみます。
過去記事でビザ(VISA)とマスターカードについては取り上げていたのですが、ようやくペイパルについて書くことができました。
◆ビジネス概要
WEB経由の電子決済サービス大手で、世界で2.5億アカウント、1800万店舗の利用規模を誇ります。(なお、ビザは世界で約20憶人、約4000万店舗、マスターカードは世界で約10憶人、約4000万店舗となっています。)口座間決済や送金・入金サービスによる手数料が主な収益源です。
1998年設立、2002年にeBayと合併、その後、2015年にはeBayからスピンオフし再上場。2016年にはビザ、マスターカードと提携、2017年にはグーグル、JPモルガン、アップル、アリババなどとも提携を拡大しています。
最近ではマスターカードとビザ、ペイパルの頭文字をそれぞれとった「MVP」でも有名で、電子決済サービス大手の一角を占めています。ただ、日本国内では海外に比べてそれほどペイパルの知名度はありませんね。
その他、これまで収益の柱だったeBayからの手数料収入割合を低下させる一方、急速に拡大する傘下の個人間送金アプリ「VENMO」(ベンモ)などを今後どのように収益化するのか注目されています。(VENMOのユーザ数は約4000万人)
では続いて、ペイパルの財務状況について確認します。
ソースはいずれもモーニングスターUSからです。
予想利益の数値等は税引き前の理論値です。
計算方法は、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞出版社)を参考にしています。
各種チャートは筆者作成です。
◆財務分析
■売上高&売上高成長率
直近2018年の売上高は約150憶ドルあり、ビザ(約200憶ドル)よりは少なく、マスターカード(約150憶ドル)と同規模ぐらいといったところでしょうか。
売上高成長率は毎年20%程度あり申し分ありませんね。
■営業利益&営業利益成長率
■純利益&純利益成長率
営業利益、純利益ともにきれいな右肩上がりとなっており、成長率も申し分ありませんね。
なお、2014年に純利益が半減していますが、調べてみたところ、繰り延べ税金負債による所得税の増加という特殊要因が原因のようです。(参考 2015 Form 10-K)
なお、2014年に純利益が半減していますが、調べてみたところ、繰り延べ税金負債による所得税の増加という特殊要因が原因のようです。(参考 2015 Form 10-K)
■粗利益率&営業利益率
粗利益率は、ここのところ40%後半でとなっております。
トレンドとしては微減が続いているところがやや気になります。
営業利益率は、15%〜17%の間に収まっており、微増傾向となっております。
悪くはない数字ですが、ビザやマスターカードと比べるとやはりやや見劣りしてしまいますね。
■キャッシュフロー
フリーキャッシュフローは、これまでも2017年を除いて増加してきましたが、2018年は50憶ドル目前まで大きく増加する結果となりました。安定したフリーキャッシュフローといっても問題ないですね。
■株数、株数(2012年=100)
部分的には自社株買いも実施してるようですが、ビザやマスターカードほどではありませんね。
◆10年後予想株価はどのようになるか?
■EPS&EPS成長率(実績)
実績EPS成長率(対前年)は直近では10%後半~20%後半のレンジに収まっています。
なお、機械的に2014年から2018年までの年平均成長率(CAGR)実績を計算すると約50%になり、何とも驚異的な成長スピードではないでしょうか。
(出所)PayPal investor day (May-18)
その他、2018年インベスターデイの会社側資料によれば、今後3~5年の成長見通しは、20%未満の年平均成長率(CAGR)を見込んでいるとあります。
■今後のEPSの推移(予想)<EPS成長率:15%>
ペイパルのこの先のEPS成長率がどの辺りに落ち着くのかは、素人目には非常に悩ましいです。
ただ、個人的には、先ほど触れたインベスターデイの資料の他にも、ビザやマスターカードなど他社の動向も勘案してみると、今後10年のペイパルの成長率は、少なくとも15%程度はあるのではないかと考えています。(あくまでも個人的な予想です。)
■過去のPER(実績)
2015年から2018年における実績PERの上限、平均、下限を調べると次のとおりでした。
<PER上限> PER=57.5
<PER平均> PER=45.0
<PER下限> PER=35.2
■予想期待収益率
EPS成長率を15%と仮定した場合の2028年の期待収益率です。
PER上限では14.9%、平均では12.1%、下限で9.4%となっています。
■10年後の予想EPS、予想株価、期待収益率
<EPS成長率が15%の場合>
<EPS成長率が10%の場合>
10年後の予想EPS、予想株価、予想期待収益率をまとめたものです。
EPS成長率を15%と仮定した場合と、参考までに10%と20%の場合も載せています。
◆まとめ
今回はペイパルの会社概要、財務データ、10年後株価についてまとめてみました。10年間のEPS成長率を15%と仮定した場合の2028年の予想株価は、PER上限では335.9ドル、平均では262.6ドル、下限で205.8ドルとなりました。
ペイパルは日本であまり馴染みがない分、なかなかイメージの持ちにくい会社だと思います。
ただ、財務データを見るとビザやマスターカードに劣らない素晴らしい会社で、「MVP」と言われる理由がよくわかるのではないでしょうか。
現時点では「MVP」の一角ではあるものの、フィンテックは非常に競争が激しいビジネス分野であることは間違いありませんから、今後の成長はそれなりに振れ幅が大きくなると考えております。
最後に、現在の株価に割安感はありせんが、今後の決済環境の進化を見込んだ場合は、それなりに投資妙味があるのも事実だと思いますので、今後も目が離せないのと思っております。
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