ポイント
- マイクロソフトの2029年の予想株価は、PER上限では430.8ドル、平均では251.0ドル、下限で131.6ドル
- 2029年の予想期待収益率は、PER上限では12.4%、平均では6.5%、下限で-0.2%
- 好調なクラウド事業を追い風に今後の成長が見込まれるが、先行投資やR&D費用はやはり重荷か。
こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。
本記事では、これまでの停滞が嘘だったかのように、ここのところ快走しているマイクロソフトについて、会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを確認します。
◆会社概要
1975年 ビル・ゲイツ、ポール・アレンにより設立1985年 Windows 1.0をリリース
1986年 ナスダックにIPO
1989年 Officeスイート(Mac版)、SQL Server 1.0をリリース
1995年 Internet Explorer 1.0をリリース
パソコンOSのWindows、ソフトウェアのエクセルなどの Office シリーズ、データベースソフトの SQL、インターネットブラウザの Internet Explorer など、誰もが知っているソフトを手掛けていることは言うまでありませんね。
2000年代以降は、これまでのソフトウェアを核として、モバイルやゲーム、クラウドにも注力しています。また、最近では大型M&Aでも注目を浴びています。
2000年 Windows Mobile をリリース
2001年 Xbox をリリース
2003年 Windows Server をリリース
2010年 Windows Azure をリリース
2011年 Office 365 をリリース
Skype 85億ドルでM&A
2012年 Surface シリーズ をリリース
2016年 Dynamics 365 をリリース
Linkedin 260億ドルでM&A
2018年 GitHub 75億ドルでM&A
ここ最近の好調を支えるクラウドのAzure(アジュール) は、対前年比売上高で2019年Q3決算では+73%、Q4決算は+64% と勢いよく伸びています。
この流れを受けてマイクロソフトの時価総額は、アマゾン、アップルに続く1兆ドル超えの仲間入りとなりました。
続いて財務分析です。
◆財務分析
- ソースはいずれもモーニングスターUSからです。
- 予想利益の数値等は税引き前の理論値です。
- 計算方法は、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞出版社)を参考にしています。
- 各種チャートは筆者作成です。
- チャート横軸の西暦は会計年度(FY)です。
- ソースはいずれもモーニングスターUSからです。
- 予想利益の数値等は税引き前の理論値です。
- 計算方法は、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞出版社)を参考にしています。
- 各種チャートは筆者作成です。
- チャート横軸の西暦は会計年度(FY)です。
■売上高&売上高成長率
売上高は2016年に一時的に落ち込んだものの、クラウド部門の好調な伸びを受けて、直近2019年は1200億ドル超えとなりました。
2019年時点のざっくりとした内訳は、Office や Linkedin などのビジネスソフト部門、Azure などのサーバークラウド部門、Windows や Xbox などのパーソナル部門の3部門でそれぞれ約400億ドルとなっています。
■営業利益&営業利益成長率
営業利益も売上高と同様に2016年以降大きく伸びています。
■純利益&純利益成長率
2019年の純利益は392.4億ドルと大きく伸びています。
ただ、そのうち一部(約27億ドル)は減税等による特殊要因によるものです。
■粗利益率&営業利益率
粗利益率、営業利益率ともに2017年を底に回復してきています。
AmazonやGoogleなど大手がしのぎを削るビジネス環境において、ようやく本来のポジションにマイクロソフトが戻ってきたと言えるのかもしれません。
■キャッシュフロー
営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローともに安定的に増加しています。
ただ、投資キャッシュフローも年々増加しており、ビジネス環境の競争激化、盤石だった消費者独占的な優位性に影を落とす形となっています。
■株数、株数(2010年=100)
自社株買いにより2010年から2019年で約15%減とまずまずなところとなっています。
■配当、配当性向、配当増加率
ここ最近、配当は約10%の増配率で、2010年以降連続増配が続いています。
配当性向はやや高止まりしていましたが、2019年は純利益増加にともない大きく下がる結果となりました。
■R&D(研究開発費)
研究開発費の売上高に占める割合の推移です。
10%~14%のレンジに収まってはいますが、やや高止まりの印象を受けます。(ビザやマスターカード、コカ・コーラなどは数%未満)
最近では、好調な売上げにより2016年~2017年ピークの14%台から低減してはいますが、熾烈で油断できないビジネス環境を考えると、いつ再び14%台かそれ以上に戻っても不思議ではないようにも思えます。
◆10年後予想株価
■EPS&EPS成長率(実績)
EPS成長率の推移は何とも悩ましいですね。。。
ひとまず2010年から2019年のEPS年平均成長率(CAGR、幾何平均)を機械的に計算すると、約10.3%という結果になりました。
■今後のEPSの推移(予想)
先ほど計算したEPS成長率(10.3%)が今後も続くと仮定した場合の予想EPSの推移です。
※やや高めかなとも思いますが、今後の Azureなどの伸びも期待して、この成長率としています。
計算したところ2029年の予想EPSは9.25ドルという結果になりました。
■過去のPER(実績)
2010年から2019年における実績PERの上限、平均、下限は次のとおりでした。
<PER上限> PER=41.8
<PER平均> PER=22.3
<PER下限> PER=9.4
■予想株価
予想EPSに実績PER(上限、平均、下限値)をかけて計算した予想株価の推移です。
2029年の予想株価は、PER上限では430.8ドル、平均では251.0ドル、下限で131.6ドルとなりました。
■予想期待収益率
先ほど計算した予想株価をもとに、2019年6月末時点の株価(133.96ドル)を基準とした予想期待収益率を計算(CAGR)しています。
2029年の予想期待収益率は、PER上限では12.4%、平均では6.5%、下限で-0.2%となりました。
■10年後の予想EPS、予想株価、期待収益率
これまで出てきた数字をまとめています。
2029年では、EPSが9.25ドル、予想株価は、PER上限では430.8ドル、平均では251.0ドル、下限で131.6ドルとなりました。
また、予想期待収益率は、PER上限では12.4%、平均では6.5%、下限で-0.2%となりました。
なお、現在の株価は136.90ドル(2019年8月2日時点)となっており、2013年以降右肩上がりで上昇してきています。
株価はすでに2020年の予想株価(PER上限)あたりまで上がっておりますが、好調なクラウド事業を受けてどこまで伸びていくのか今後が楽しみでもありますね。
◆まとめ
今回はマイクロソフトについて、会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを振り返りました。AmazonやGoogleなど競合他社との熾烈な競争にある中で、好調なクラウド事業を中心に業績はようやく回復してきています。
マイクロソフトの抱える製品群とポテンシャルを考えると、この先もしばらくは好調な業績が見込めるでしょうから、投資先の選択肢としては大いにありだと考えます。
ただ、数字で確認したとおり先行投資や研究開発(R&D)などに莫大な費用がかかるビジネスであることは、非常に悩ましいポイントではないでしょうか。
W.バフェットとビル・ゲイツは大の仲良しのようですが、バフェットがマイクロソフトに投資しない理由は、もしかするとこのあたりにもあるのかもしれませんね。
よろしければ応援のクリックをお願いいたします。
・免責事項
関連記事:
■消費者独占的企業といえばまずはビザではないでしょうか。MVPの筆頭ですね。
■MVPの一角のマスターカードについてです。
■MVPのもう一角のペイパルについてです。
■MVPのもう一角のペイパルについてです。
コメント