GDPでみるアメリカ|アメリカのアメリカたる所以



今回はアメリカのGDPを中心にまとめてみたいと思います。

まず、簡単にGDPのおさらいです。

GDPとは?

 GDPとはその国の経済規模を示す指標のひとつで、通常、その年の1月から12月の1年間にその国内で発生した付加価値の合計として計算されます。抽象的でわかりにくいですが、例えば、100万円の商品を120万で販売した場合、20万円が付加価値としてカウントされるということです。また、物の販売だけでなく、広くサービスの提供にも付加価値は発生し、こちらもGDPの一部としてカウントされます。

 少し脱線しますが、今のGDP体系の原型が誕生したのは1960年代と意外と新しく、例えば、有名なニューヨークダウ平均株価は1896年まで遡れことを考えると、それほど歴史がある訳ではありません。なお、このGDP体系を最初に構築したイギリス人の経済学者リチャード・ストーンはこの功績によりノーベル経済学賞を受賞しています。


 話を元に戻して、企業などが稼ぎ出した付加価値は、そこに雇用される社員に給与という形で支払われたり、利益として企業に蓄積されます。さらに、給与の大部分は消費に、利益は(設備)投資に回ることになります。
 つまり、GDPが増加すれば、消費がさらに活発となり、投資がさらに増加するということになります。単純に考えると、これらはすべて企業の売上高や経常利益増へとつながることになります。このことがGDPが注目される所以です。
 話を分かりやすくするため、単純化しましたが、実際には企業のグローバル化や物価の変動など様々な要因があり、これほと単純ではありませんが、シンプルにはこういうことです。


前置きが長くなりました。

アメリカの名目GDPの推移

【アメリカの名目GDPの推移】 ※単位はUSドル

 (資料)世界銀行 / 世界開発指標- Google Public Data Explorer より

 アメリカの2016年の名目GDPは18.6兆ドルで、1960年以降、世界で断トツの1位です。2位の中国が11.2兆ドルと近年、急激に追い上げて来ていますが、2016年時点でその差は7.4兆ドルもあります。日本は第3位の4.9兆ドルですが、アメリカと中国の差は日本のGDPよりも大きいことになります。

アメリカの実質GDP成長率

アメリカの実質GDP成長率

(資料)世界銀行 / 世界開発指標- Google Public Data Explorer より
 
 2016年の経済成長率は1.62%で、2015年は2.6%、2014年は2.37% 2013年は1.68%とリーマンショク以降、緩やかな経済成長が続いています。日本はアベノミクスによる景気回復が続いていますが、それでも2016年は1.0%、2015年は1.22%、2014は0.34%、2013年は2.0%です。アメリカも低成長といわれていますが、そもそもの経済規模が違うことを考えると十分成長しているのではないでしょうか。

まとめ

 アメリカのGDPは現時点で断トツで世界1位であり、この先もしばらくは揺るぎないでしょう。また、GDPは付加価値の合計であるため、単純にはコストは安く販売価格が高い商品が多いセクターほどGDPは大きくなる傾向があります。アマゾンやグーグルなど最近話題のFAAMG銘柄がすべてアメリカ発だということは偶然ではありません。よく言われるように、イノベーションが起こりやすく、それらを儲かるビジネスに繋げる環境が整っていることの結果なのです。


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