米国長短金利差(金利スプレッド)とリセッション

まとめ

  • 米国の長短金利スプレッドと景気循環には関係性が見られる。
  • FRB(連邦準備制度理事会)は長短金利スプレッドの動きを常に注視し、金融政策を決めており、マーケットの関係者も重視している。
  • 過去の推移をみると長短金利スプレッドがマイナスに転じた後、概ね1~2年後にリセッション(景気後退)入りしている。

今回は米国の長短金利スプレッドとリセッションの関係について、簡単にまとめてみたいと思います。

アメリカの長短金利スプレッドの推移をみると、1980年以降、マイナスに転じた後にリセッション入りすることが確認されており、そのため、FRBは金融政策や景気見通しを決める際には、長短金利スプレッドの推移を重要な指標のひとつとしています。

これは、単純には以下のとおりです。
まず、景気拡大時にはFRBが金融引き締め、利上げをすることにより短期金利が上昇します。一方、長期金利は経済成長、インフレ期待など金融政策とはあまり関係なく決り、さらに、短期金利に比べて動きが遅いということがあります。そのため、景気拡大時には短期金利の上昇を受け長短金利スプレッドが縮小していきます。なお、逆に景気後退の際は、FRBの利下げにより長短金利スプレッドは拡大していきます。

過去の推移をみると、長短金利スプレッドがマイナスに転じてから概ね1年から2年程度の後にリセッション入りしていることがわかります。

 ■米国長短金利スプレッドとリセッション

このことは、長短金利スプレッドがマイナスに転じると、近々のリセッション入りを意味しますので、マーケットサイドとしては、売りシグナルオンということを意味します。

なお、2018年1月11日現在の長短金利スプレッドは0.56となっております。
今年、2018年はFRBによる3回の利上げが予定されており、現在のマーケット状況が今後も続くと仮定すれば、それぞれ0.25ポイントの利上げ、計0.75ポイントの上昇となり、単純に考えると2019年中には長短金利スプレッドがマイナスに転じることが想定されます。

 ■米国短期金利の推移(FFレート)


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