今回はモーニングスターやYahoo Financeを見ていると必ず登場する「ベータ(ベータ値/β値)」について、(すぐに忘れるので…)自分の忘備録も兼ねて簡単にまとめたいと思います。
また、ベータが登場するまでに至った背景についても簡単にまとめたいと思います。(基本的に難しい数式等はすべてスルーしています。)
なお、内容については、バートン・マルキール(著)、井手 正介(訳)「ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理」から大部分を引用しております。より詳細に知りたい方はそちらをご覧ください。
まずはリスクとリターンの説明から。
リスクとリターンの関係
つまり、値動きの大きい証券はリスクが高く、値動きのほとんどない証券は低リスクという具合いです。
参考までに、モーニングスターのサイトでみると、
・SPY(SPDR S&P 500 ETF Trust)の
リスク(標準偏差)は10.04%、リターンは11.30%、
・VT(Vanguard Total World Stock)の
リスクは10.14%、リターンは9.85%
となります。(いずれも2017年12月31日時点の3年実績値)
例えば、上記のSPYの場合だと、68%の確率で1年後のリターンが11.3%を中心に±10.04%であるということを意味しますし、別の言い方をすると、プラス21.34%~プラス1.26%に収まる確率は約68%であるということでもあります。
※標準偏差内に収まる確率は約68%であることが知られています。
現代ポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory /MPT)
ポイントは、異なる相関係数の証券、資産クラスを加える(分散投資する)ことで、ポートフォリオ全体のリスクを低減しながら、期待リターンを高めることが可能という点です。
(※通常の感覚では、リターンを高めるには、リスクを高める必要がありますが、MPTでは、アセットの組み合わせにより、リスクを下げ、リターンを高めるという一見すると矛盾するようなことが可能であることを主張しています。)
その他にも、分散投資する際の銘柄数については、約50銘柄でリスクがほぼフラットになることが知られるようになりました。これは、50銘柄以上に分散投資しても理論的にはリスクはほとんど変わらないということです。
資本資産評価モデル(Capital Asset Pricing Model / CAPM)
1960年代に米国のウィリアム・シャープらによってMPTを発展させたのものが、CAPMです。
CAPMでは、証券投資リスクのうちどのリスクは取り除けて、どのリスクはとり除けないかをより具体化しました。
そこで、これらリスクのうち、取り除けないリスクをシステマティック・リスク、取り除くことができるリスクを非システマティック・リスクと定義しています。
CAPMでは、証券投資リスクのうちどのリスクは取り除けて、どのリスクはとり除けないかをより具体化しました。
そこで、これらリスクのうち、取り除けないリスクをシステマティック・リスク、取り除くことができるリスクを非システマティック・リスクと定義しています。
ここでようやくベータ(β)の話に入りますが、ベータとは上記のシステマティック・リスクを数値で表したもので、S&P500などの市場指数を1と仮定して計算しています。
CAPMでは、株のリターンやリスク・プレミアは、分散できないシステマティック・リスクであるベータで決まり、ベータとリターンは比例すると考えます。
CAPMでは、株のリターンやリスク・プレミアは、分散できないシステマティック・リスクであるベータで決まり、ベータとリターンは比例すると考えます。
以上のことを簡単にまとめると、
システマティック・リスク
・市場の動きに影響をうけるリスク。
・分散投資しても低減はするが0にはならない。
非システマティック・リスク
・システマティック・リスク以外のリスク。(主に、ストライキなど企業特有の要因によるもの)
・分散投資で取り除くことが可能。
ベータ(ベータ値、β値)
・システマティック・リスクを数値化したもの。
・ベータとリターンは比例する。
・ベータが高い株はアグレッシブ、低い株はディフェンシブ。
参考までにモーニングスターでベータを調べてみると、
・SPYのベータは1.0、
・VTは0.96、
・AMZN(Amazon.com, Inc.)は1.39
となります。
(いずれも2017年12月31日時点の3年実績値/AMZNはyahoo financeより)
・SPYのベータは1.0、
・VTは0.96、
・AMZN(Amazon.com, Inc.)は1.39
となります。
(いずれも2017年12月31日時点の3年実績値/AMZNはyahoo financeより)
これが意味するとことは、上記アマゾンを例にすると、ベータが1.39なので、市場全体が10%上昇すると、アマゾンは39%上昇し、逆に市場全体が10%下落すると、アマゾンは39%下落することを意味します。
ここで補足ですが、長期でみると必ずしもベータとリターンは理論どおりにはなっていない場合も多く、アノマリー(例外)も存在しています。
ただ、CAPMによるベータの考え方は非常にシンプルで分かりやすいため、リスク尺度として一般的に広く浸透しています。
ただ、CAPMによるベータの考え方は非常にシンプルで分かりやすいため、リスク尺度として一般的に広く浸透しています。
最後に、これらの理論を出発点として、その後のインデックス投資、インデックスファンドの全盛の時代が幕を開けることになります。
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