iDeCoの出口戦略を考える~その1|退職所得控除と受取方法がポイント?



ポイント

・通常の退職金も所得税が課税されるが退職所得控除により軽減される。
・iDeCoは60歳~70歳の受け取り時に、受け取り方法を年金方式、一時金方式、併用方式から選択可能
・退職金額やライフプランによりiDeCoの受け取り方式を選ぶことが税金面でとても大切

こんばんは、
Yukinosuke(@yukinosuke35 です。
今回は、iDeCoの受け取り時にかかる税金について、以前から少し気になっていたので、忘備録も兼ねてポイントをまとめておきたいと思います。

◆退職所得控除とは

これからiDeCoを検討されている方には、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、退職金には、毎月もらう給与などと同様に受け取り時に税金(所得税)が課されます。

しかし、長年積み立てた退職金の全額に税金をかけるとあまりに酷なので、税負担の軽減、つまり、課税される前に金額の一部を控除することが制度として認められおり、それを「退職所得控除」といいます。



◆退職所得控除額の計算方法


では具体的に退職所得控除額の計算についてですが、勤続年数により以下のように分かれます。

勤続年数   :退職所得控除額

20年以下  :40万円×勤続年数
20年超  :800万円+70万円×(勤続年数-20年)
1年未満の勤続年数は1年として切り上げて計算
(出所)国税庁「退職金にかかる税金」より

例えば、勤続年数が30年の場合は、勤続年数が20年を超えているので、上記下段の式になり、次のようになります。

800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円

◆退職金にかかる所得税の計算方法

次に、退職金にかかる所得税は、以下のように計算します。
まず、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額に1/2を掛けて課税退職所得金額(課税対象になる退職金の金額)を計算します。

①課税対象になる退職金の金額(退職金額 − 退職所得控除額)× 1/2

次に、①で求めた課税対象になる退職金の金額に所得税の税率を掛けて、控除額を差し引き、その残りの金額が所得税額(基準所得税額)となります。


②所得税額=課税対象になる退職金の金額 × 所得税率  控除額

なお、このときの税率と控除額については、以下の税額表のとおりです。


(出所)国税庁「退職金にかかる税金」より

例えば、退職金が2,500万円で勤続年数が30年の場合で計算すると以下のようになります。

①(2,500万円-1,500万円)×1/2 = 500万円

②500万円×20%-42万7,500円 = 57万2,500円

なお、実際には②の57万2,500円にさらに、2.1%の復興特別所得税がかかり、

③57万2,500円×2.1% = 58万4,522円 ※1円未満切り捨てとなります。
その他、住民税もかかりますがここでは省略しています。



上記をまとめたものが以下です。

(出所)国税庁「退職金にかかる税金」より

ここまでが退職金にかかる所得税の基本となります。


◆iDeCoの場合はどのようになるか

では次に、iDeCoについてですが、結論からいうと積み立てたiDeCoについても、60歳から70歳の受け取り時に退職金と同様に税金が課されます。
しかし、通常の退職金と異なり、iDeCoは受け取り方法を以下3つのパターンから選ぶことができます。

パターン①:分割(年金)受け取り
パターン②:一括(一時金)受け取り
パターン③:分割と一括の併用(一部を一時金、残りを年金)

iDeCoの場合は、上のとおり受け取り方法を選択できるため、かかる税金(税制)も異ってきます。

そのため、退職金の額やライフプランに合わせて、受け取りパターンを選ぶことが税金面で重要となってきます。

少し長くなってきましたので、今回はこの辺りで続きは次回にしたいと思います。

次回:iDeCoの出口戦略を考える 〜その②|場合によっては損する可能性も?

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