ポイント
- 世界全体でみた喫煙率は、今後も減少傾向が続く。
- 喫煙者数は人口増加地域の影響もあり全体としては微減
- 東南アジアと西太平洋地域は、世界全体の喫煙者数の約半分強を占める巨大なマーケットとして今後も魅力を維持する。
- 加熱式タバコの登場などでたばこ業界の激変が予想されるが、PMやMOなどの優良タバコ銘柄は、この先もしぶとく生き残ると思われる。
こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。
今回は、タバコに関する今後の動きをいろいろと調べてみましたのでそのご紹介です。
まずは日本国内の動きからです。ソースは JT全国たばこ喫煙者率調査 からです。
◆国内の動き
日本の喫煙率(加熱式含む)は男女ともに減少傾向となっています。特に、男性の低下が顕著ですね。この10年でみると、2008年(平成20年)には39.5%あった男性の喫煙率は、2018年(平成30年)には27.8%となっており、毎年約1%ポイント程度も減少している計算になります。かなりの減少幅ではないでしょうか。
一方、女性の喫煙率は微減で推移しており、2008年は12.9%、2018年には8.7%となっています。
なお、男性と比べて女性は喫煙率自体が低位のため、微減傾向ではあるものの今後これ以上の下がりしろは男性と比べるとあまり無いといったところだと思われます。
男女総合してみると、男性の喫煙率は、あと20年もすれば10%程度まで低下し、女性とそれほど変わらなくなると考えられます。恐らくこの辺りが男女ともに下限ではないかという気もしますがいかがでしょうか。
■性別・年代別喫煙率の推移
(出所)最新たばこ情報「JT全国たばこ喫煙者率調査」よりその他、1日当たりの平均喫煙本数は次のようになります。
■1日当たりの平均喫煙本数
- 男性 17.7本(18.1本)
- 女性 14.4本(14.7本)
特に、年代別でみると50代男性が19.5本と一番多くなっており、年齢階層が上がるほど、吸う本数も増えていきます。
一方、女性については、20代以外の年齢層ではそれほど本数に大差はない結果となっており、ちょっと意外な印象を受けます。
というのも、タバコには依存性があるため、喫煙期間が長くなれば長くなるほど喫煙本数が増えるのが一般的だと思います。
これは推測ですが、女性はそれほど依存性の高くない(つまり低ニコチン)タバコを吸われる方が多い等の要因もあるかもしれませんが、これだけでは何とも言えませんね。
■年代別1人あたり喫煙本数
国内についてまとめると、この先、急ピッチの人口減少が見込まれているうえ、主力である男性の喫煙率低下が著しく、既に言われているとおりタバコのマーケットとしての魅力は厳しい状況と言わざるを得ませんね。
次に世界の動きについて見たいと思います。
◆世界の動き
データはWHOからです。・WHO global report on trends in prevalence of tobacco smoking 2000-2025 - Second edition(WHO)
■男女別喫煙率(15歳以上、2000年~2025年)※2020年以降は予測、年齢調整済
世界全体の喫煙率は、2000年の26.9%から2025年には17.3%(男性は2025年に30.0%、女性では4.7%)まで低下するとWHOは推測しています。
単純に比較はできませんが、2025年の男性の喫煙率30%(予測)は、ざっくり2018年現在の日本の男性の喫煙率と同じぐらいを想定しているということです。
なお、2025年時点のターゲット(目標値)は、それよりもさらに低い数字(全体15.5%、男性25.6%)となっていますので、現状の減少ペースではまだ物足りないといえそうです。
次に地域別の喫煙率です。
■地域別喫煙率(15歳以上、2000年~2025年)※2020年以降は予測、年齢調整済
※地域内に含まれる国の説明はこちら■地域別喫煙率(15歳以上、2000年~2025年)<総数>
■地域別喫煙率(15歳以上、2000年~2025年)<男性>
■地域別喫煙率(15歳以上、2000年~2025年)<女性>
地域別にみると、もそれぞれ減少傾向ではあるものの、2025年に20%以上の喫煙率である地域は、ヨーロッパ(26.3%)、東地中海(22.3%)となっており、特に、ヨーロッパの高さが目につきます。
次に男性では、2025年に30%以上ある地域は、西太平洋(42.1%)、東地中海(36.2%)、ヨーロッパ(33.5)となっています。
特に、東地中海地域は、唯一上昇する結果(2000年:32.6% → 2025年:36.2%)となっており、WHOの思惑どおりには喫煙率がコントロールされていないことが伺えます。
一方、東南アジアは、2000年に41.3%でしたが、2025年には28.2%と劇的に減少しており、各国でのタバコ規制がかなりの効果をあげていることがわかります。
その他、日本や中国が入る西太平洋地域は、喫煙大国の中国の影響により2025年でも42.1%というハイスコアが予想されています。
そういえば、数年前に中国を訪れた際、町中の至るところで男性がプカプカふかしていたことを思うと納得の数字だと感じますね。(さすがに電車内での喫煙には参りましたが・・・。)
最後に、喫煙者数です。
■喫煙者数(15歳以上、2000年~2025年)※2020年以降は予測、年齢調整済
世界全体でみると、2000年に約11.4億人だった喫煙者数は、2025年には約10.9億人まで減少する見込みとなっています。
地域別には、アメリカ、ヨーロッパでは減少傾向、アフリカ、東地中海では増加、東南アジアや西太平洋では横ばいとなっています。
傾向としては、今後の爆発な人口増が見込まれているアフリカ、東南アジアや西太平洋地域では、喫煙率は減少するものの喫煙者数は増加、或いは減少しても微減に留まることが想定されています。
なお、東南アジアと西太平洋地域は、世界全体の喫煙者数の約半分強を占める巨大なマーケットであり、喫煙者数がほぼ横ばいで推移することを考えると、この先もタバコ市場としての魅力が安定的であるエリアだと言えます。
◆まとめ
今回は、JT、WHOのデータを使って世界のたばこ動向を数字で確認しました。今後の傾向としては、世界的に喫煙率は低下するものの、人口増加地域の影響もあり、世界全体の喫煙者数はそれほど減らないことが分かりました。
ただ、世界的なトレンドとしてWHOやFDAなどを中心に、今後さらにタバコの規制(コントロール)は増していくでしょうから、喫煙者数や喫煙率の数字自体が大きく変わる可能性には留意する必要はあります。
一方で、タバコメーカーの動きを見ると、加熱式タバコや電子タバコなど、これまでの紙タバコ以外に活路を見出す姿勢を鮮明にしています。
この先、どのようなタバコが市場を席巻するかを予想するのは難しいですが、PMやMO、JTなどの優良タバコメーカーが過去幾多の苦難を乗り越えて生存し、高いパフォーマンス(連続増配、高配当)を発揮してきたことは言うまでもありません。
これら銘柄の今後については、必ずしも平坦な道のりではないかもしれませんが、この世界からタバコがなくなることが想像できない以上、しぶとく生き残っていくのではないかと個人的には考えています。
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