暴落したジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)は果たして買いか?

(Photo by rawpixel.com from Pexels)

ポイント

  • ロイターとジョンソン・エンド・ジョンソンの主張は相容れないもの
  • ジョンソン・エンド・ジョンソンの財務基盤は盤石
  • アスベストについては断片的で不透明な情報しかなく、買うにしてもタイミングは慎重に見極めたいところ

こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。

今回は、 先週末に急落したジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)について、思うところをまとめてみました。

◆株価急落の背景

事の発端は、ジョンソン・エンド・ジョンソンは、ベビーパウダーに微量のアスベスが含まれていることを、数十年間把握していながらFDAに報告していなかったというロイターの記事です。

具体的には、ベビーパウダーの原料のひとつであるタルクに微量のアスベストが含まれており、これを内部では知りながら報告してこなかったというもの。

ただ、ジョンソン・エンド・ジョンソンもすぐさまプレスリリースにてこの記事を一方的・陰謀的で事実ではないと否定し、ベビーパウダーは完全にアスベストフリーであり、FDAにはこれまで数十年にわたり協力してきたとも主張していますので、お互いの主張は相容れないものとなっています。

また、ベビーパウダーをめぐっては、すでに今年7月、米ミズーリ州セントルイスの裁判所から総額47億ドルの損害賠償金の支払いを言い渡されており、現在法廷闘争中でもあります。

◆ジョンソン・エンド・ジョンソンの財務状況は?

財務状況は、私が言うまでもなく盤石の財務基盤となっています。
 ・売上高:813億ドル(直近12か月)
 ・純利益:165億ドル(2016年)
 ・フリーキャッシュフロー:184億ドル(直近12か月)
 ・キャッシュ等:190億ドル(2018年9月時点)
 ・連続増配:56年
 ※データはモーニングスター

そして、何といってもS&Pのトップ格付け「AAA」は、世界でジョンソン・エンド・ジョンソンとマイクロソフトの2社しかありません。

なお、売上高の構成比をみると、約50%が医療品、次に約35%が医療機器、残り約15%が一般消費者向けとなっています。今回問題となっているベビーパウダーは一般消費者向け製品に含まれています。

今回のベビーパウダーの問題については、そもそもの売上高へのウェイトが大きくないので、直接的なインパクトは限定的だと思いますが、ジョンソン・エンド・ジョンソンのブランドイメージへの影響の方が心配ですね。

◆これまでのトータルリターンは?

10年・15年のトータルリターンをみると、10年(9.05%)ではセクター平均(11.13%)と市場平均(S&P500)(11.97%)の両方に負けており、15年(8.64%)ではセクター平均(7.87%)には勝っていますが、市場平均(S&P500)(9.65%)には負けています。

非常に魅力的な銘柄なので、暴落したらすぐに買い!といいたいところですが、過去10年、15年のトータルリターンでは、無難にS&P500を買った方がよかった訳ですから、この先の不透明な訴訟リスクを考えると、なかなか難しいところではないでしょうか。

■トータルリターン

(出所)モーニングスター

◆現在の株価と配当利回り推移

現在の週足チャートです。
200週移動平均(113.80ドル)には今回の暴落でもまだまだ届きませんが、50週移動平均(131.47ドル)にまでほぼ株価が下がっておりますので、ここで踏みとどまるのか、さらに下げるのかは注目ではないでしょうか。
その他、配当利回りが3%を超える120ドルラインも個人的には注目しています。

■週足チャート


■配当利回の推移


◆まとめ

今回はザ・ディフェンシブ銘柄と言っても過言ではない、ジョンソン・エンド・ジョンソンを取り上げました。

今回のアスベスト訴訟は、世界中の投資家が見守っており、その注目度は非常に高いと思います。(そのため、バーゲンセールにはなかなかなり難いのではないかとも思っています。)

なお、ジョンソン・エンド・ジョンソンは過去にも度々訴訟トラブルに巻き込まれ、その都度、乗り越えてきた経緯がありますので、個人的には楽観しており、今回もその盤石な財務基盤とともにどのように乗り越えていくのかとても興味があります。

ただ、現時点ではアスベストについては断片的で不透明な情報しかなく、買うにしてもタイミングは慎重に見極めたいところですね。

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