世界の人口予測 |この先の地域別人口はこう推移する!|PM(フィリップ・モリス)の地域別売上高への影響は?

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ポイント

  • アフリカの人口増加はこの先顕著で、世界の大部分を占める。
  • アジアは2050年頃まで人口増が続くが、日本や中国を含む東アジア地域が足を引っ張り、その後緩やかに減少する。
  • フィリップ・モリスの売上高は人口増の続くアジアが想定どおり力強い伸びだが、ヨーロッパは横ばいで今後の先細りが懸念される。

こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。

今回は以前にも記事にした世界の将来人口について、地域別にももう少し詳細にまとめてみようと思います。
記事後半では、人口と密接に関係するビジネスの例として、タバコを取り上げ、フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)の地域別売上高についても軽く触れてみようと思います。

◆世界の将来人口の動き

■世界と地域別将来人口の推移(2035年以降は中位推計)

(出所)United Nations「World Population Prospects: The 2017 Revision」より筆者作成

国連の統計によると、2017年の世界人口は76億人で、2030年に86億人、2050年では98億人、2100年には112億人に達すると推計しています。

2017年を基準とすると、2050年は2017年の約1.3倍、2100年では約1.5倍となる計算です。

これを地域別にみると、アフリカは2017年に13億人(16.6%)、2035年に19億人(21.3%)、2050年に25億人(25.9%)、2100年には45億人(39.9%)となっています。※カッコは世界全体に占める構成比

特に、ナイジェリアやガーナを含む西アフリカ地域は、2100年には2017年時点の4.2倍まで人口増加が見込まれおり、世界を見渡してもこれだけ増加する地域は見つかりません。

その他地域についても増加傾向で、アフリカは今後まさに人口爆発と言っても過言ではありません。

次にアジアです。
アジアは2017年が45億人(59.7%)、2035年は51億人(57.0%)、2050年は53億人(53.8%)、2100年は48億人(42.7%)となっています。

アフリカほどではありませんが、2050年頃まで人口増加が続き、その後緩やかに減少していきます。主な要因としては、少子高齢化の激しい日本や中国を含む東アジア地域が足を引っ張るかたちとなっています。

続いてヨーロッパです。
ヨーロッパは2017年に7.4億人、2035年は7.3億人、2050年は7.2億人、2100年は6.5億人と、世界の地域別では唯一減少するエリアとなっています。

特に、ロシアやチェコなどを含む東ヨーロッパ、イタリヤやスペインなどの南ヨーロッパの減りが際立ちます。

一方、イギリスの入る北ヨーロッパは人口増加、フランスの入る西ヨーロッパは横ばいとなっており、狭い域内でも増加地域と減少地域が異なる結果となっています。ヨーロッパらしいと言えばヨーロッパらしいですね。

ラテンアメリカは2017年が6.5億人、2035年は7.4億人、2050年は7.8億人、2100年は7.1億人です。

最後に、北アメリカです。
北アメリカは2017年が3.6億人、2035年は4.1億人、2050年は4.3億人、2100年は5.0億人となります。2100年にはヨーロッパとほぼ同じ人口規模となるなんて、今の段階では想像もつきませんね。

北アメリカは世界経済の中心地であるうえ、この先も緩やかな人口増加が続くという非常に稀有な地域であることが、このデータからもわかるのではないでしょうか。


次に、人口と密接に関係するビジネスの例として、タバコについて世界的なたばこメーカーであるフィリップ・モリス・インターナショナル(PM)の地域別売上高に触れてみようと思います。

◆フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)の地域別売上高

データは、フィリップ・モリス(PM)の年次報告書(Annual Report)からです。
※スピンオフ前のデータについても記載があるものは採用しています。

フィリップ・モリスの地域別売上高(構成比)は、2017年時点でトップはヨーロッパで275億ドル(35.3%)、次にアジアの226億ドル(29.0%)、東ヨーロッパ・中東・アフリカの180億ドル(23.1%)、ラテンアメリカ・カナダの98億ドル(12.6%)の順になります。 

ヨーロッパは、2006年頃は断トツのトップでしたが、ここのところ横ばいか、微減となっており、他地域との差が埋まってきています。
2006年の構成比が49%もあったことを考えると、2017年は35.3%で約14ポイントも低下しています。

アジアは、売上高及び構成比ともにここのところ伸びが顕著となっていて、2006年に約101億ドルだった売上高は、2017年には226億円と約2.2倍になっています。
構成比でも、2006年の21%から2017年は29%と8ポイント増で勢いがあります。

今後の人口増が想定されるアフリカについては、東ヨーロッパや中東と合算されており、詳細をみたいことろでしたが不明でした。(所得水準が低いことなどもあり、まだそれほど全体へのインパクトはないとも推測できますが。。。どこかにないか調べておきます。)

現時点では人口の伸びやiQOSなどの次世代新製品のタイミングともうまく重なり、アジアの伸びがヨーロッパなどの全体の低成長をカバーする形になっています。

アジアの伸びは今後しばらくは期待できそうですが、ヨーロッパ並みのタバコ規制や増税、健康志向などにより喫煙者数がこの先減少していく点は少し引っかかりますね。

今後の先細りが見えるヨーロッパについても、どのように売上を確保していくのか、とても気になります。

そういえば、W.バフェットの言葉に「ビジネスは最も弱い部分から浸食される」というのがありました。

少し考えすぎかもしれませんが、最も厳しい規制に重税、そして人口減少など、ヨーロッパがフィリップ・モリスにとっての「最も弱い部分」にならなければよいなと思ってしまいます。

■地域別売上高

■地域別売上高構成比

■地域別売上高指数(2006=100)

■地域別売上高、構成比、指数(表)

(出所)フィリップ・モリス・インターナショナルより筆者作成

◆まとめ

今回は世界の将来人口の推移について地域別に確認しました。

アフリカの人口増加が顕著で世界の大部分を占めることもわかりました。

地域内を詳細にみると全体では減少していても、部分的には力強く増加してる地域もあり、人口の動きは国の政策や経済力に影響されているとも見えます。

後半では、PMの地域別売上高をみました。
人口増の続くアジアが想定どおり力強い伸びとなっていますが、ヨーロッパは横ばいではあるものの、先細りが懸念されます。

高まる健康志向や当局の規制、重税など、タバコビジネスの今後を見通すことはかなり難しいのも事実ですが、この先10年、20年で劇的に喫煙者数が減るとも思えません。

PMやMOなどの優良銘柄は、今後のタバコ環境を悲観してか、ここのところかなり売り込まれており、魅力的な配当水準となっていますので、タバコ環境の動向には引き続き注目していきたいですね。

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