ポイント
- マクドナルドの2028年の予想株価は、PER上限では397.9ドル、平均では316.4ドル、下限で250.2ドル
- 2028年の予想期待収益率は、PER上限では8.4%、平均では5.9%、下限で3.5%
- 強力なブランド、潤沢なキャッシュフロー、株主還元意識の高さなど文句の付けようはないが、バランスシートの94%も占める長期債務には要注意か。
こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。
本記事では、私も大好きなマクドナルドについて、 会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを確認します。
また、以前から気になっていたバランスシートの長期負債についても取り上げます。
◆会社概要
世界首位のハンバーガーチェーンで世界120カ国以上に約38,000店舗を展開。1日当たり6900万人以上の顧客にサービスを提供。従業員は世界で約170万人という超巨大企業。主な収益は直営店、フランチャイズ店からの収益です。特に、フランチャイジー(出店経営者)からのレンタル料(賃料など含む)は全収益の2割程度を占め、マクドナルドの安定した経営の基盤となっています。
近年はレストランの近代化にも力を入れており、アプリによる注文、セルフオーダーキオスク、デジタルメニュー、さらにはデリバリー(宅配)に至るまで、顧客満足度の向上に妥協は感じられません。
そういえば、Uber Eats でのデリバリーは日本でもかなり普及してきましたね。
続いて財務分析です。
◆財務分析
- ソースはモーニングスターUSからです。
- 予想利益の数値等は税引き前の理論値です。
- 計算方法は、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞出版社)を参考にしています。
- 各種チャートは筆者作成です。
- チャート横軸の西暦は会計年度(FY)です。
- ソースはモーニングスターUSからです。
- 予想利益の数値等は税引き前の理論値です。
- 計算方法は、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞出版社)を参考にしています。
- 各種チャートは筆者作成です。
- チャート横軸の西暦は会計年度(FY)です。
■売上高&売上高成長率
売上高は2013年をピークに減少が続いています。
アニュアルレポート(10-K)によれば、これまでの直営方式からフランチャイズ方式に切り替え(再フランチャイズ化)ている影響により売上高が減少しているとのことです。
なお、2015年から始まったこの再フランチャイズ化も、2018年にてほぼ完了とのこと。
■営業利益&営業利益成長率、純利益&純利益成長率
先ほどのチャートでは売上高は減少していましたが、その反面、営業利益、純利益は2015年以降増加に転じいています。
再フランチャイズ化が功を奏していることがよくわかりますね。
■粗利益率&営業利益率
粗利益率、営業利益率ともにこれまでの横ばいから2015年以降増加しています。
それにしても、粗利益率50%台、営業利益率40%台という数字は、本当に外食サービス業なのかとため息の出るレベルではないでしょうか。
これらの数字は再フランチャイズ化もさることながら、コスト削減や業務最適化といった地道な企業努力、そして圧倒的で強力なブランド力がなせる技だと考えますがいかでしょうか。
ちなみに、産業が異なるので単純比較はできませんが、例えばマイクロソフトの直近2019年の営業利益率は約30%台ですから、マクドナルがいかに高収益かわかると思います。
■キャッシュフロー
営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローの安定感は抜群ですね。
フリーキャッシュフローは毎年約40億ドルで推移しています。
■株数、株数(2009年=100)
2018年の株数は2009年時点と比較して約30%減少しています。
マクドナルドが自社株買いに積極的であることがよくわかります。
また、自社株買いの規模は2018年は約53億ドル、2017年は約47億ドル、2016年は約111億ドルとかなりの金額で、これからも株主への一貫した還元姿勢が見て取れます。
■配当、配当増加率、配当性向
2018年の配当成長率は約9%で、配当性向は約60%です。
総配当金額は2018年は約33憶ドル、2017年は31憶ドル、2016年も31憶ドルとなっております。
2018年の自社株買い分を含めた配当性向はラフに計算しても軽く100%を超えるレベルです。
なお、株主への還元もプログラムどおりに、2016年〜2018年の3年で約250億ドルを株主に還元(配当と自社株買い)しています。(さすが!)
■バランスシート 総資産(%)
バランスシート全体を100%としたときの、流動資産(Currnet Assets:ピンク)と固定資産(Non-Current Assets:青)の構成比です。
固定資産(青)が全体の9割程度を占めており、その中でも土地や建物などの有形固定資産(Net PP&E)がその大半であることがわかります。(以下の内訳参照)
なお、2016年以降は債務超過に陥っており、特に長期債務(Long-Term Debt)がバランスシートの大部分(94%!)を占め、その借り入れた資金は主に自社株買い&配当金に振り向けられていることが伺えます。
アニュアルレポート(10-K)によれば、2018年末で約311憶ドルもの債務が積みあがっており、単純に2018年の売上高210憶ドルと比較すれば、売上高の約1.5倍(311憶ドル÷210憶ドル)、純利益59憶ドルの約5.2倍(311憶ドル÷52憶ドル)の規模になっていて、純利益ベースでのひとつの目安である4倍は超えてしまっています。
アニュアルレポート(10-K)によれば、2018年末で約311憶ドルもの債務が積みあがっており、単純に2018年の売上高210憶ドルと比較すれば、売上高の約1.5倍(311憶ドル÷210憶ドル)、純利益59憶ドルの約5.2倍(311憶ドル÷52憶ドル)の規模になっていて、純利益ベースでのひとつの目安である4倍は超えてしまっています。
少し乱暴な言い方をすれば、”借金”をしてせっせと自社株買い&配当をしているということになりますね。
これについて調べてみると、類似ケースは米国企業にはそれなりにあるようで、例えば、フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)、ムーディーズ(MCO)、コルゲート(CL)などもマクドナルドと同様に債務超過となっています。※ムーディーズ(MCO)は2018年は債務超過解消
これについて調べてみると、類似ケースは米国企業にはそれなりにあるようで、例えば、フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)、ムーディーズ(MCO)、コルゲート(CL)などもマクドナルドと同様に債務超過となっています。※ムーディーズ(MCO)は2018年は債務超過解消
潤沢なキャッシュフローとバランスシートを武器に、レバレッジを利かして株主へ還元する。
マクドナルドはまさに、最強の株主還元企業ではないでしょうか。
ただ、この結果を反映してか、マクドナルドのS&Pによる現時点での格付けは、BBB+(上から8番目)という低い格付けになっています。※ちなみに、2001年はAA(上から3番目)でした。
◆10年後予想株価
■EPS&EPS成長率(実績)
EPS成長率の推移です。
2009年から2018年のEPS年平均成長率(CAGR、幾何平均)を機械的に計算すると、約6.9%という結果になりました。
■今後のEPSの推移(予想)
先ほど計算したEPS成長率(6.9%)が今後も続くと仮定した場合の予想EPSの推移です。
計算したところ2028年の予想EPSは12.66ドルという結果になりました。
■過去のPER(実績)
2009年から2018年における実績PERの上限、平均、下限は次のとおりでした。
<PER上限> PER=26.9
<PER平均> PER=20.4
<PER下限> PER=15.2
■予想株価
予想EPSに実績PER(上限、平均、下限値)をかけて計算した予想株価の推移です。
2028年の予想株価は、PER上限では397.9ドル、平均では316.4ドル、下限で250.2ドルとなりました。
■予想期待収益率
先ほど計算した予想株価をもとに、2018年12月末時点の株価(177.57ドル)を基準とした予想期待収益率を計算(CAGR)しています。
2028年の予想期待収益率は、PER上限では8.4%、平均では5.9%、下限で3.5%となりました。
■10年後の予想EPS、予想株価、期待収益率
これまでの数字をまとめています。
2028年では、EPSが12.66ドル、予想株価は、PER上限では397.9ドル、平均では316.4ドル、下限で250.2ドルとなりました。
また、予想期待収益率は、PER上限では8.4%、平均では5.9%、下限で3.5%となりました。
なお、現在の株価は217.97ドル(2019年9月6日時点)で、これまで右肩上がりで上昇しております。
株価はすでに2022年の予想株価(PER上限)あたりまで上がっております。
◆まとめ
本記事ではマクドナルドについて、会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを確認しました。強力なブランド、潤沢なキャッシュフロー、株主還元意識の高さなど、これぞ米国株といったところではないでしょうか。
また、ハンバーガーというありふれた商品だけで、世界有数の大企業にまで上り詰めたビジネスモデルは、マクドナルドの価値(ブランド)そのものだということも忘れてはいけません。
ただ、近年は株主還元を強力に進めるあまり長期債務がかなり膨らんでおり、世間一般には何ら問題ないレベルという評価ではありますが、このことは頭の片隅には置いておいてもよいのかもしれませんね。
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