ポイント
- アップルの2029年の予想株価は、PER上限では477.6ドル、平均では367.1ドル、下限で283.8ドル
- 2029年の予想期待収益率はPER上限では7.9%、平均では5.1%、下限で2.4%
- 予想株価、予想期待収益率ともにこれまでの予想値どおりに推移
- iPhoneに依存したビジネスモデルから、バランスよくサービス部門やウェアラブル部門でも稼ぐシフトが予定通り進んでいる。
こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。
アップル(AAPL)の2019年決算が10月31日に公表されたので、財務分析データと10年後予想株価、期待収益率を更新しようと思います。
会社概要や2018年決算データについては、過去記事をご覧ください。
ではさっそく財務分析からです。
◆財務分析
- ソースはモーニングスターUSからです。
- 予想利益の数値等は税引き前の理論値です。
- 計算方法は、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞出版社)を参考にしています。
- 各種チャートは筆者作成です。
- チャート横軸の西暦は会計年度(FY)です。
- ソースはモーニングスターUSからです。
- 予想利益の数値等は税引き前の理論値です。
- 計算方法は、「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞出版社)を参考にしています。
- 各種チャートは筆者作成です。
- チャート横軸の西暦は会計年度(FY)です。
■売上高&売上高成長率
2019年の売上高は前年2018年より微減(△2.1%)となりました。
米中貿易戦争や不利な為替レートを考えるとまずまずな結果ではないでしょうか。
2019年通期の売上高(2601憶ドル)の製品別構成比を見ると、iPhoneのウェイトが大きく下がる一方、Apple Music などのサービス、Apple Watch などのウェアラブルデバイスが順調に増加しています。
これまでの目標だった脱iPhoneの効果が着実に表れた結果と言えるのではないでしょうか。
地域別売上高を見ると、米中貿易戦争の影響により中国のシェアが減少し、アメリカが伸びる結果となっております。
まだこの先はわかりませんが、これまでの数字を見る限りでは米中貿易戦争の影響は、結果的には前評判ほど大きくはなかったということだと思います。
■営業利益&営業利益成長率
■純利益&純利益成長率
2019年の営業利益成長率(対前年比△9.8%)、純利益成長率(△7.2%)はともに大きく減少しています。
■粗利益率&営業利益率
粗利益率、営業利益率は微減となっております。
■キャッシュフロー
なお、投資キャッシュフロー(資本的支出)も減少しております。
■株数、株数(2009年=100)
自社株買いはさらに進み、2010年時点から約28%減となっています。
2019年は669憶ドル(2018年は727憶ドル)の自社株買いで、一株当たりに換算すれば、概ね13.4ドル(=669憶ドル÷50憶株)程度の規模ということになります。
■配当、配当性向、配当増加率
2019年の増配率は10.3%でした。
10%台の増配率はキープしながら6年連続増配となっています。
配当性向(Payout Ratio)は25%とやや上昇する結果となりました。
■R&D(研究開発費)
研究開発費(R&D)の売上高に占める割合は、2019年は初めて6%台になりました。
ただ、13%程度もあるマイクロソフトやAmazonに比べると以前低いレベルではないでしょうか。
■バランスシート 総資産(%)
直近2019年では流動資産と固定資産でそれぞれ半分程度を占めています。
固定資産ではその他(Other Long-Term Assets)が一番大きく、これは余剰資金で投資した有価証券(Marketable securities)となっています。
なお余談ですが、固定資産のうちの工場などの有形固定資産(PP&E)の小ささは、モノづくり企業でありながら、外部への生産委託(OEM)を徹底して進めた結果ですね。
ここの所、負債の割合が増加しています。
特に長期債務(Long-Term Debt)がかなりの部分を占め、増加傾向が続いております。
キャッシュリッチなアップルではありますが、自社株買い等には恐らく市場で調達した資金を振り向けた方が資本効率がよいうえ、ROEにも下駄を履かすことができ、一石二鳥なのだと思います。
特に長期債務(Long-Term Debt)がかなりの部分を占め、増加傾向が続いております。
キャッシュリッチなアップルではありますが、自社株買い等には恐らく市場で調達した資金を振り向けた方が資本効率がよいうえ、ROEにも下駄を履かすことができ、一石二鳥なのだと思います。
◆10年後予想株価
■EPS&EPS成長率(実績)
EPS成長率の推移です。
2019年のEPSは貿易戦争の影響を大きく受けずに、予想通りに推移する結果となりました。
2010年から2019年のEPS年平均成長率を直線で近似すると、年間約1.02ドルの上昇幅となりました。
※アップルの場合、年率(指数)よりも直線(線形)で近似した方が当てはまりがよいので、直線での近似としています。
ちなみに、2009年から2018年までの10年間を近似すると、年間約1.067ドルの上昇幅だったので、今回はやや下がる結果となっています。
■今後のEPSの推移(予想)
先ほど計算したEPS成長(+1.02ドル/年)が今後も続くと仮定した場合の予想EPSの推移です。
計算したところ2029年の予想EPSは21.20ドルという結果になりました。
■過去のPER(実績)
2009年から2018年における実績PERの上限、平均、下限は次のとおりでした。
※過去10年の実績PERは(モーニングスターの更新がまだなので。。)据え置いております。
※過去10年の実績PERは(モーニングスターの更新がまだなので。。)据え置いております。
<PER上限> PER=20.6
<PER平均> PER=15.3
<PER下限> PER=11.4
■予想株価
予想EPSに実績PER(上限、平均、下限値)をかけて計算した予想株価の推移です。
2029年の予想株価は、PER上限では477.6ドル、平均では367.1ドル、下限で283.8ドルとなりました。
■予想期待収益率
先ほど計算した予想株価をもとに、2019年9月末時点の株価(223.97ドル)を基準とした予想期待収益率を計算(CAGR)しています。
2029年の予想期待収益率は、PER上限では7.9%、平均では5.1%、下限で2.4%となりました。
■10年後の予想EPS、予想株価、期待収益率
これまで出てきた数字をまとめています。
2029年では、EPSが21.20ドル、予想株価は、PER上限では477.6ドル、平均では367.1ドル、下限で283.8ドルとなりました。
また、予想期待収益率は、PER上限では7.9%、平均では5.1%、下限で2.4%となりました。
予想株価、予想期待収益率ともにこれまでの予想どおり推移しており、大きな変更は特にありません。
現在の株価は255.82ドル(2019年11月1日時点)です。
株価は米中貿易戦争などの影響を織り込んでか、やや値動きの荒い展開が続いていましたが、貿易戦争にもひと段落する兆しが見え、株価もそれを織り込んでか上値を追う動きとなっています。
そういえば、2019年Q4のカンファレンスコールでもティム・クックCEOの今後の見通しが明るかったのは印象的ですね。
◆まとめ
本記事ではアップルについて、2019年決算をベースとして財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを振り返りました。これまでのiPhoneに依存したビジネスモデルから、バランスよくサービス部門やウェアラブル部門でも稼ぐシフトが予定通り進んでいることがわかりました。
(そうえば、最近みんなAir Podsしてますね。)
また、米中貿易戦争は当初想定したほどの影響は感じられず、この先もそれほど影響はないのかもしれません。
W.バフェットは投資にあたり、政治の動きはほとんど気にしないとも言っていますから、アップルの素晴らしい製品、素晴らしいサービスにしっかりと目を向けるべきということですね。
※いずれにしても投資は自己責任でお願いいたします。
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