ポイント
- 3M(スリーエム)の2029年の予想株価は、PER上限では373.9ドル、平均では303.0ドル、下限で227.8ドル
- 予想期待収益率は、PER上限では7.8%、平均で5.6%、下限で2.6%
- 今後、PFAS関連の環境汚染訴訟が業績やブランドイメージに重くのしかかる可能性は要注意か
こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。
本記事では、3M Company(MMM)について、 会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを確認します。
◆会社概要
1902設立の老舗コングロマリット企業で、70以上の国に展開しています。
消費財からヘルスケア、カーケア用品までざっと60,000以上の製品を製造し、ポストイットやスコッチブライト、スコッチなどお世話になっている人も多いのではないでしょうか。
ただ、生活に欠かすことのできない製品を多数そろえる3Mですが、ここのところ業績はやや伸び悩んでおり、加えて、環境汚染に関する訴訟(PFAS(ペルフルオロアルキル・ポリフルオロアルキル物質)訴訟)にも巻き込まれるなど、苦しい状況が続いています。
ビジネスセグメントを見ると、昨年から着手した事業再編により、これまでの5つのセグメントから、昨年4月以降は4セグメントに変更となっています。
主な事業セグメントです。(10-Kより)
地域別の売上高では米国国内(41%)、アジア太平洋(31%)、ヨーロッパ・アフリカ(19%)、ラテンアメリカ・カナダ(9%)の順となっています。
消費財からヘルスケア、カーケア用品までざっと60,000以上の製品を製造し、ポストイットやスコッチブライト、スコッチなどお世話になっている人も多いのではないでしょうか。
ただ、生活に欠かすことのできない製品を多数そろえる3Mですが、ここのところ業績はやや伸び悩んでおり、加えて、環境汚染に関する訴訟(PFAS(ペルフルオロアルキル・ポリフルオロアルキル物質)訴訟)にも巻き込まれるなど、苦しい状況が続いています。
ビジネスセグメントを見ると、昨年から着手した事業再編により、これまでの5つのセグメントから、昨年4月以降は4セグメントに変更となっています。
主な事業セグメントです。(10-Kより)
- 安全・工業 (Safety and Industrial: 2019年売上高の36.1%)
- 運輸・電気 (Transportation and Electronics:29.9%)
- ヘルスケア (Health Care:23.1%)
- 消費者 (Consumer:15.8%)
地域別の売上高では米国国内(41%)、アジア太平洋(31%)、ヨーロッパ・アフリカ(19%)、ラテンアメリカ・カナダ(9%)の順となっています。
次は財務分析です。
◆財務分析
- ソースはモーニングスターUSからです。
- 予想利益の数値等は税引き前の理論値です。
- 将来予測の計算方法は「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞出版社)を参考にしています。
- 各種チャートは筆者作成です。
- チャート横軸の西暦は会計年度(FY)です。
- ソースはモーニングスターUSからです。
- 予想利益の数値等は税引き前の理論値です。
- 将来予測の計算方法は「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞出版社)を参考にしています。
- 各種チャートは筆者作成です。
- チャート横軸の西暦は会計年度(FY)です。
■売上高&売上高成長率
■営業利益&営業利益成長率
これまでほぼ横ばいの売上高でしたが、中国、自動車関係の需要減を受け2019年は4年ぶりに減少に転じ、対前年比△1.9%となっています。
その影響もあってか営業利益は2年連続で減少、純利益は1年ぶりに減少しています。
■粗利益率&営業利益率
粗利益率は約47%、営業利益率は約19%と比較的高い値をキープしています。
なお、2019年は組織改編や訴訟関連費用などにより粗利益率、営業利益率ともに減少する結果となっています。
■キャッシュフロー
フリーキャッシュフローは既存事業売却益などもあり、過去最高とアナウンスされています。
■株数、株数(2010年=100)
2010年時点からの比較では自社株買いにより株数は約20%減となっています。
2019年は配当と自社株買いにより47憶ドルを株主還元しており、株主還元への姿勢はさすがですね。
■配当、配当性向、配当増加率
2019年の増配率は約6%です。
これにより60年連続増配となり、まさに配当チャンピオンにふさわしい実績ですね。
配当性向(Payout Ratio)は約70%あり、やや高止まりの印象を受けます。
■売上高に占めるR&D(研究開発費)
売上高に占める研究開発費は5%台で安定しています。
■バランスシート 総資産(%)
バランスシート全体を100%としたときの、流動資産(Currnet Assets:ピンク)と固定資産(Non-Current Assets:青)の構成比です。
直近2019年では流動資産が3割、固定資産が7割を占めています。
固定資産では無形資産(Intangibles)が一番大きくなっています。
2019年の無形資産の伸びは、この年43憶ドルで買収したAcelity(アセリティ)の影響です。10-Kによると、のれん代として約35憶ドル計上されていました。
事業再編と同時に取り組んでいる在庫圧縮の成果が出ており、在庫回転日数(2018:11.9→2019:9.3)が短くなっています。
アナウンスによれば3.7憶ドル分の在庫を2019年中に削減したとのことで、サプライチェーン効率化による在庫圧縮に今のところ成功しているようです。
■バランスシート 負債及び株主資本(%)
同様にバランスシート全体を100%としたときの、負債(ピンク)と株主資本(青)の構成比です。
2014年以降、負債、特に長期債務(Long-Term Debt)の割合が増加し、2019年時点では約40%を占めております。
他の企業と同様に自社株買いやM&Aなどに資金を充てていると思われますが、詳細は時間があれば調べてみようと思います。。。
資本的支出とは設備投資など事業継承に必要となる支出のことで、2010年を基準年として、各年までの資本的支出と純利益の累積金額の割合(資本的支出÷純利益)を見てみると、概ね3割台で安定しております。
バフェットによれば5割以下が好ましく、2割以下なら競争優位性が高いというレベルですから、3Mについても問題ないレベルだといえます。
2014年以降、負債、特に長期債務(Long-Term Debt)の割合が増加し、2019年時点では約40%を占めております。
他の企業と同様に自社株買いやM&Aなどに資金を充てていると思われますが、詳細は時間があれば調べてみようと思います。。。
■純利益に占める資本的支出(%)
資本的支出とは設備投資など事業継承に必要となる支出のことで、2010年を基準年として、各年までの資本的支出と純利益の累積金額の割合(資本的支出÷純利益)を見てみると、概ね3割台で安定しております。
バフェットによれば5割以下が好ましく、2割以下なら競争優位性が高いというレベルですから、3Mについても問題ないレベルだといえます。
◆10年後予想株価
■EPS&EPS成長率(実績)
EPS成長率の推移です。
2010年から2019年のEPS年平均成長率(CAGR)を機械的に計算すると年間約3.7%の成長率となりました。
■今後のEPSの推移(予想)
先ほど計算したEPS成長率が今後も続くと仮定した場合の予想EPSの推移です。
計算したところ2029年の予想EPSは11.81ドルという結果になりました。
■過去のPER(実績)
2010年から2019年における実績PERの上限、平均、下限は次のとおりでした。
<PER上限> PER=26.3
<PER平均> PER=20.3
<PER下限> PER=13.9
■予想株価
予想EPSに実績PER(上限、平均、下限値)をかけて計算した予想株価の推移です。
2029年の予想株価は、PER上限では373.9ドル、平均では303.0ドル、下限で227.8ドルとなりました。
■予想期待収益率
先ほど計算した予想株価をもとに、2019年12月末時点の株価(176.42ドル)を基準とした予想期待収益率を計算(CAGR)しています。
2029年の予想期待収益率は、PER上限では7.8%、平均では5.6%、下限で2.6%となりました。
■10年後の予想EPS、予想株価、期待収益率
これまで出てきた数字をまとめています。
2029年では、EPSが11.81ドル、予想株価は、PER上限では373.9ドル、平均では303.0ドル、下限で227.8ドルとなりました。
また、予想期待収益率は、PER上限では7.8%、平均では5.6%、下限で2.6%となりました。
株価は2018年につけた244.81ドルをピークに、下げトレンドが続いています。
(出所)Macrotrends.net
なお、利回りベースでみると現在3.6%台であり、リーマンショック以来の高水準となっております。
中国、自動車関連の低迷やPFAS関連の環境汚染訴訟が嫌気されたのか、株価はかなり売り込まれています。
■今後のリスク(PFAS関連の環境汚染訴訟)
※PFAS関連の環境汚染訴訟については、例えばこちら3Mは、PFAS関連訴訟で、例えば2018年にミシガン州に対して8億ドルの和解金支払いに合意していますし、他の州や都市でも同様の訴訟(約180件!)がすでに起こされています。
PFAS関連環境汚染訴訟については、この先長期に渡り業績に重くのしかかりそうな気がしますので、なかなか苦しいところではないでしょうか。
なお、一部の日本企業もPFAS関連訴訟に名前があがっておりますので、日本でもこの先取り上げられる機会は多くなると思われます。(今のところ日本ではほとんど報道されませんが、、、)
◆まとめ
本記事では3Mについて、財務分析、10年後予想株価、期待収益率など確認しました。ここのところ株価は下落トレンドとなっており、60年連続増配の優良銘柄が利回り3%後半で買えるという素晴らしタイミングのようにも思えます。
ただ、今後、PFAS関連の環境汚染訴訟が業績やブランドイメージに重くのしかかる可能性は非常に高いと思われますので、投資するにはこのあたりをどのように考えるか難しいところではないでしょうか。
いずれにしても、産業界の巨人である3Mにはこれまで培ってきた素晴らしい企業カルチャーがある訳ですから、この局面をどのように切り抜けるのか、注目していきたいと思います。
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■マイクロソフトも素晴らしい企業ですね。
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