【COST】銘柄分析|FY19通期|コストコ(Costco Wholesale)は隠れた成長銘柄|10年後予想株価・予想期待収益率


ポイント

  • コストコ(COST)の2029年の予想株価は、PER上限では834.2ドル、平均では677.6ドル、下限で583.8ドル
  • 予想期待収益率は、PER上限では11.0%、平均では8.7%、下限で7.1%
  • 新型コロナウイルスの影響により不透明感はあるものの短期的な調整局面はバーゲンセールか

こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。

本記事では、コストコ(COST)の会社概要、財務分析データと10年後予想株価、期待収益率を確認します。

◆会社概要

有料会員制で低価格まとめ売りが特徴の量販店。富裕層やミドルクラスが主なターゲットです。本社はワシントン州イサクア、ウォルマートに次ぐ世界第2位の小売業者です。

2019年末時点で785の倉庫(店舗)があり、2005年時点の433店舗からこの15年でほぼ倍近くになっています。

2019年末時点では米国546、カナダ100、メキシコ39、英国29、日本26、韓国16、台湾14、オーストラリア11、スペイン2、アイスランド、フランス、そして中国に1つとなっています。

2019年末時点で全世界で従業員254,000人、会員数は9850万人となっています。

また、近年ではこれまで課題だった会員向けe-コマース(オンライン)にも注力しています。

主な年表は次のとおりです。

1976年 サンディエゴの飛行機倉庫にてJ・シネガル、J・ブロトマンにより創業
1983年 「Costco」の最初の倉庫店がシアトルにオープン
1985年 1株10ドルで公募
1993年 「Price Club」と事業統合し「PriceCostco」に社名変更
1997年 「Costco Wholesale Corporation」に社名変更
2001年 B2Bのオンラインサイト開設
2012年 J・シネガルからクレイグ・ジェリネクに社長兼CEO交代
2016年 AMEXとのカード提携を解消し、VISAに変更
2017年 会員向けオンラインサイト開設
2019年 上海に中国1号店開設。日本でオンラインサイト開設

■会員数の推移

(出所)Costco Wholesale Corporation 10-K より筆者作成

ではさっそく財務分析です。

◆財務分析

  • ソースはモーニングスターUSからです。
  • 予想利益の数値等は税引き前の理論値です。
  • 将来予測の計算方法は「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞出版社)を参考にしています。
  • 各種チャートは筆者作成です。
  • チャート横軸の西暦は会計年度(FY)です。

■売上高&売上高成長率 


■営業利益&営業利益成長率


■純利益&純利益成長率



ここ数年の売上高は対前年比で+8〜10%、過去10年間右肩上がりで推移しております。
2017年〜19年の純利益は10%後半の高い伸びとなっています。

■粗利益率&営業利益率


この10年間粗利益率は約13%、営業利益率は約3%とかなり低く抑えられています。

コストコの薄利多売(会費収入で儲ける)戦略がよくわかるのではないでしょうか。

■キャッシュフロー


キャッシュフローは安定的に推移しておりますが、設備投資は増加傾向となっています。

ビジネスモデルと言ってしまえばそれまでですが、店舗拡大などにより設備投資に多額の費用がかかるのはやはり気になりますね。

参考までに、ウォルマート(WMT)のキャッシュフローも載せておきます。


■株数(Shares)、株数(2010年=100)


株数はこの10年ほとんど減っておらず、あまり積極的に自社株買いしていないことがわかります。

そのかわりかは分かりませんが特別配当は数年に1度行っており、直近では2017年に7ドルもの特別配当を実施しております。

■配当(DPS)、配当増加率(DPS成長率)、配当性向(Payout Ratio)




この10年間、配当成長率は10%前半と魅力的に推移しており、配当性向も30%前後と低く抑えられています。

ただ、配当利回りは1%未満とかなり低く、配当利回り目的だけで投資するにはやや忍耐がいりますね。

連続増配は15年です。



■バランスシート 総資産(%)




バランスシート全体を100%としたときの、流動資産(Currnet Assets:ピンク)と固定資産(Non-Current Assets:青)の構成比です。

2019年は流動資産で約5割、固定資産も約5割を占めています。

流動資産では現金等(Cash & Short-Term Investments)、在庫(Inventory)で半々となっています。

固定資産はほぼすべて有形固定資産(Net PP&E)となっています。

現金等は25%(直近FY20Q2時点で約87憶ドル)もありかなり分厚い印象です。

参考までにキャッシュリッチで有名なGoogleの現金比率は約4割、Appleで約3割となっています。その他、Amazonは約2割、ウォルマートは約4%です。

■バランスシート 負債及び株主資本(%)





同様にバランスシート全体を100%としたときの、負債(ピンク)と株主資本(青)の構成比です。

長期負債は約10%でほぼ横ばい、短期負債は数%未満で安定的に推移しています。

なお、2020年3月には宅配業者のイノベル・ソリューションズ(Innovel Solutions、旧シアーズ・ロジスティクス)を10億ドル(約1070億円)で買収と発表しています。

◆10年後予想株価

■EPS&EPS成長率(実績)




EPS成長率の推移です。

2010年から2019年のEPS年平均成長率(CAGR)を機械的に計算すると年約12.5%の成長率となりました。

■今後のEPSの推移(予想)


先ほど計算したEPS成長率が今後も続くと仮定した場合の予想EPSの推移です。

計算したところ2029年の予想EPSは22.68ドルという結果になりました。

■過去のPER(実績)

2010年から2019年における実績PERの上限、平均、下限は次のとおりでした。

<PER上限> PER=34.9
<PER平均> PER=28
<PER下限> PER=23.8

■予想株価


予想EPSに実績PER(上限、平均、下限値)をかけて計算した予想株価の推移です。

2029年の予想株価は、PER上限では834.2ドル、平均では677.6ドル、下限で583.8ドルとなりました。

■予想期待収益率


先ほど計算した予想株価をもとに、2019年12月末時点の株価(294.76ドル)を基準とした予想期待収益率を計算(CAGR)しています。

2029年の予想期待収益率は、PER上限では11.0%、平均では8.7%、下限で7.1%となりました。

■10年後の予想EPS、予想株価、期待収益率


これまで出てきた数字をまとめています。

2029年の予想株価は、PER上限では834.2ドル、平均では677.6ドル、下限で583.8ドル、また、2029年の予想期待収益率は、PER上限では11.0%、平均では8.7%、下限で7.1%となりました。


現在の株価は317.92ドル(2020年4月17日時点)で、新型コロナウイルスの影響により一旦調整しましたが、ほぼ影響前のレベルに回復しています。


◆まとめ

本記事ではコストコについて、財務分析、10年後予想株価、期待収益率など確認しました。

新型コロナウイルス影響前の数字ということもありますが、成長性、ビジネスモデルの強さ(濠)はほぼ間違いない銘柄ではないでしょうか。

今後は、中国をはじめ米国以外にも展開するでしょうし、オンラインのビジネスも恐らく軌道に乗せるでしょうから、コストコの未来は非常に明ると感じます。

さらに、新型コロナウイルスの影響により連日、コストコにできた消費者の行列がニュースにもなってもいますから、このような状況であっても底堅い経営環境には変わりないと考えています。

そのため、もしこの先も株価が短期的に調整する局面があれば、バーゲンセールの可能性が高いのではないでしょうか。

その他、今回、コストコの決算資料や会社ホームページなどいろいろと見て廻りましたが、各種数字が詳しく開示されており、経営者の経営スタイルへの拘りが随所に滲み出て、非常に好印象を受けました。

一貫した経営スタイル、他社からの浸食を防ぐ濠、徹底したコスト意識、ブランド力などまさにバフェット好みの銘柄ではないでしょうか。

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