【HD】銘柄分析|FY19通期|ホーム・デポ(The Home Depot Inc)はホームセンターの王様|10年後予想株価・予想期待収益率


ポイント

  • ホーム・デポ(HD)の2029年の予想株価は、PER上限では1592.3ドル、平均では1345.6ドル、下限で1134.0ドル
  • 予想期待収益率は、PER上限では21.4%、平均では19.4%、下限で17.4%
  • 新型コロナウイルスによる景気冷え込みは業績にダイレクトに影響か。

こんにちは、ゆきのすけ(@yukinosuke35)です。

本記事では、ホーム・デポ(HD)の会社概要、財務分析データを確認し、10年後予想株価、期待収益率を紹介します。

◆会社概要

ホーム・デポは米国最大で業者首位のホームセンター業者です。
プロ(Pro)から一般向け(DIY)まで品揃えが豊富で、知識豊富なスタッフに定評があります。

FY2019末時点の店舗数は2219店舗(うちカナダ・メキシコは307店舗)で、従業員数は約41.5万人。なお、業界2位のロウズ(LOW)の店舗数は約2200、従業員数約30万人です。

他の小売事業者と同じくオンラインにも積極投資を行っており、特に、オンラインと実店舗をシームレスに繋ぐ「One Home Depot」というコア戦略(投資総額約110憶ドル)をFY18より採用し、Amazonなどの巨大小売企業との差別化を図っています。

「One Home Depot」戦略の効果もあってか、直近の決算資料(Form 10-K)によれば、売上高に占めるオンライン注文の割合は2018年は約10%でしたが、2019年は約20%にまで増えております。(ちなみに、オンライン注文の約半数は実店舗での受け取りを選択)

ではさっそく財務分析です。

◆財務分析

■売上高&売上高成長率 


※FY2019およびFY2017は52週。FY2018は53週。

■営業利益&営業利益成長率


■純利益&純利益成長率



過去10年間右肩上がりの素晴らしい売上高、営業利益、純利益でしたが、2019年はやや鈍化する結果となっています。

■粗利益率&営業利益率


この10年間の粗利益率は約30%台前半を維持し、営業利益率は1桁から約10%台前半まで上昇しています。
参考までに、業界のライバルであるロウズ(LOW)の利益率も載せておきます。


■キャッシュフロー


営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローともに安定的に推移しています。

参考までに、ロウズ(LOW)のキャッシュフローも載せておきます。


■株数(Shares)、株数


株数はこの10年で約35%減となっており、積極的な自社株買いが伺えます。

2019年は約70億ドル、2018年は約100億ドル、2017年は80億ドルの自社株買いを実施し、フリーキャッシュフローの大部分を株主へ還元しております。(Form 10-Kより)

■配当(DPS)、配当増加率(DPS成長率)、配当性向(Payout Ratio)



2桁の配当成長率が続いており申し分ありませんね。
配当性向は40%~50%のレンジに収まっており、概ね問題ないです。
 

■バランスシート 総資産(%)




バランスシート全体を100%としたときの、流動資産(Currnet Assets:ピンク)と固定資産(Non-Current Assets:青)の構成比です。

2019年は流動資産が約4割、固定資産は約6割を占めています。

流動資産はほぼ在庫(Inventory)となっています。

固定資産は有形固定資産(Net PP&E)となっています。

有形固定資産は主に店舗敷地や建物などです。

■バランスシート 負債及び株主資本(%)




同様にバランスシート全体を100%としたときの、負債(ピンク)と株主資本(青)の構成比です。

積極的な株主還元により2018年から債務超過になっています。

ここ数年の長期負債は約50%~60%で増加傾向にありましたが2019年はやや減少に転じました。
短期負債は数%未満で安定的に推移しています。

主な債務超過の企業は、マクドナルド(MCD)、ムーディーズ(MCO)、フィリップ・モリス(PM)などがあります。

◆10年後予想株価

■EPS&EPS成長率(実績)



EPS成長率の推移です。

2010年から2019年のEPS年平均成長率(CAGR)を機械的に計算すると約19.8%の成長率となりました。

■今後のEPSの推移(予想)



先ほど計算したEPS成長率が今後も続くと仮定した場合の予想EPSの推移です。

計算したところ2029年の予想EPSは55.55ドルという結果になりました。

■過去のPER(実績)

過去10年間の実績PERの上限、平均、下限は次のとおりでした。

<PER上限> PER=26.3
<PER平均> PER=21.9
<PER下限> PER=18.0

■予想株価



予想EPSに実績PER(上限、平均、下限値)をかけて計算した予想株価の推移です。

2029年の予想株価は、PER上限では1592.3ドル、平均では1345.6ドル、下限で1134.0ドルとなりました。

■予想期待収益率



先ほど計算した予想株価をもとに、2020年1月末時点の株価(228.1ドル)を基準とした予想期待収益率を計算(CAGR)しています。

2029年の予想期待収益率は、PER上限では21.4%、平均では19.4%、下限で17.4%となりました。

■10年後の予想EPS、予想株価、期待収益率



これまで出てきた数字をまとめています。

2029年の予想株価は、PER上限では1592.3ドル、平均では1345.6ドル、下限で1134.0ドル、また、2029年の予想期待収益率は、PER上限では21.4%、平均では19.4%、下限で17.4%となりました。

現在の株価は260.38ドル(2020年7月17日現在)、この10年で約10倍になっています



◆まとめ

本記事ではホーム・デポについて、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを確認しました。

この10年はホーム・デポにとって素晴らしい10年でしたが、新型コロナウイルスの影響もあり直近ではややさえない決算となっています。


また、建設業を中心に多くの失業者が出ていることもプロの利用者が多いホーム・デポには向かい風となることが予想されています。

何事もなかったよう一直線に景気が回復すればいいですが、住宅販売の減少など景気の冷え込みはホーム・デポの業績にダイレクトに影響する可能性もあり、直近の株価にも少なからず影を落としていると思われます。

しかしながら、ただ何もせずに傍観しているだけのホーム・デポでもありませんから、どのように活路を見出すのか、非常に楽しみでもありますね。

現在取り組んでいるオンラインと実店舗を融合し顧客満足度を上げる戦略はその一例でしょう。

さて、次の10年はホーム・デポにとってどのようになるでしょうか。

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