【MSFT】銘柄分析|FY20通期|マイクロソフトは安定と成長が見込める優等生|Microsoftの10年後予想株価・予想期待収益率



ポイント

  • マイクロソフト(MSFT)の2030年の予想株価は、PER上限では342.47ドル、平均では209.4ドル、下限で105.23
  • 2030年の予想期待収益率は、PER上限では5.3%、平均では0.3%、下限で-6.4%
  • Azureの成長鈍化やパッとしないガイダンスなどもあり、業績はやや一服か。

こんにちは、ゆきのすけ(@yukinosuke35)です。

本記事では、2020年通年決算が公表されたマイクロソフトの会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを確認します。

◆会社概要

会社概要については、前回記事をご覧ください。

 

その他、マイクロソフトの製品群は多岐に渡るので各ビジネスセグメントとその構成要素をまとめておきます。(Form 10-K より)

<Productivity and Business Processes>(生産性&ビジネスプロセス)

Office Commercial:Microsoft 365 ビジネス サブスクリプション、Office 365 サブスクリプション、オンプレミスのOfficeラインセス、Exchange, SharePoint, Microsoft TeamsなどのOfficeラインセス、Skype for Business、及び関連クライアントライセンス(CALs)
Office Consumer:Microsoft 365 一般向けサブスクリプション(旧Office 365一般向け)、一般向けオンプレミスのOfficeラインセス、Skype、Outlook.com、OneDrive
LinkedIn:リンクトイン及び関連サービス
Dynamics business solutions:Dynamics 365、クラウド及びオンプレミスDynamics ERP、CRM

<Intelligent Cloud>(インテリジェントクラウド)

Server Products and Cloud Services:Azure、SQL Server、Windows Server、 Visual Studio、System Center 及び関連CALs、GitHub
Enterprise Services:プレミアサポート、コンサルティングサービス

<More Personal Computing>(個人向けコンピューティング)

Windows:Windows(OEMライセンス含む)、WindowsクラウドサービスなどのWindowsボリュームライセンス、Software Assurance(SA)、MSN広告
Devices:サーフェイス(Surface)及びPCアクセサリ
Gaming:Xbox本体、Xboxコンテンツ&関連サービス、Xbox Live など
Search:Bing 及び Microsoft広告

2020年時点のざっくりとした売上高の内訳は、Productivity and Business Processesが全体の約32.4%、Intelligent Cloudが33.8%、More Personal Computingが約33.7%となっています。

続いて財務分析です。

◆財務分析

■売上高&売上高成長率


売上高は2016年に一時的に落ち込んだものの、Intelligent Cloud部門の好調な伸びを受けて、直近2020年は1400億ドルを超え、対前年比+13.6%成長でした。


セグメント別の売上高(2015年=100)です。
Intelligent Cloud部門は、2015年からほぼ倍になっています。

ただ、先の決算ではAzureの成長鈍化が嫌気され、マーケットの反応はよくありませんでした。
今後どのあたりで成長率が落ち着くのかは今後のポイントだと思われます。


■営業利益&営業利益成長率

2020年営業利益は対前年比で+23.28%成長でした。

■純利益&純利益成長率


2020年の純利益は442.8億ドルで、対前年比で+12.9%成長でした。

■粗利益率&営業利益率


粗利益率、営業利益率ともに2017年を底に回復が続いています。


セグメント別の営業利益率の推移です。
Productivity and Business Processes部門は直近で約40.4%、Intelligent Cloud部門は約37.9%、More Personal Computing部門は、約33%となっています。
More Personal Computingの利益率がここ数年で大きく改善しております。

■キャッシュフロー


営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローともに安定的に増加しています。

なお、設備投資などの投資キャッシュフローも年々増加しており、2011年の約23憶ドルから2020年はざっと7倍の約154憶ドルとなり、消費者独占的な地位に影を落とす形となっています。

■株数、株数(2011年=100)


自社株買いにより2011年から2020年で約11%減となっています。

■配当、配当性向、配当増加率


ここ数年の増配率は約10%です。
配当性向はやや高止まりしていましたが、2019年以降下がる結果となっています。

■R&D(研究開発費)


研究開発費の売上高に占める割合の推移です。
ここ数年は13%で安定的に推移していますが、やや高止まりとなっています。

■バランスシート 総資産(%)


バランスシート全体を100%としたときの、流動資産(Currnet Assets:ピンク)と固定資産(Non-Current Assets:青)の構成比です。

2020年は流動資産が約6割、固定資産は約4割を占めています。

流動資産は主に現金等(Cash & Short-Term Investments)、売掛金(Accounts Receivable)となっています。

固定資産は有形固定資産(Net PP&E)と無形資産(Intangible)なっています。

現金等は約25%もありかなり分厚いですね。


■バランスシート 負債及び株主資本(%)





同様にバランスシート全体を100%としたときの、負債(ピンク)と株主資本(青)の構成比です。

長期負債は約20%で減少傾向、短期負債は数%未満で安定的に推移しています。

なお、ここのところ噂されているTikTokの買収額は100憶ドル~300憶ドルとも言われており、もし買収すればLinkedIn(2016年に260憶ドル)以来の大型買収となり、長期負債の増加が予想されます。


◆10年後予想株価

■EPS&EPS成長率(実績)



2011年から2020年のEPS成長率を確認したところ、線形近似(直線)での当てはまりがいいので、EPS増加幅を年約0.3ドルとしています。

■今後のEPSの推移(予想)


先ほど計算したEPS増加幅(0.3ドル/年)が今後も続くと仮定した場合の予想EPSの推移です。

計算したところ2030年の予想EPSは7.33ドルという結果になりました。

■過去のPER(実績)

過去10年の実績PERの上限、平均、下限は次のとおりでした。

<PER上限> PER=41.8
<PER平均> PER=23.6
<PER下限> PER=9.4

■予想株価


予想EPSに実績PER(上限、平均、下限値)をかけて計算した予想株価の推移です。

2030年の予想株価は、PER上限では342.47ドル、平均では209.4ドル、下限で105.23ドルとなりました。

■予想期待収益率


先ほど計算した予想株価をもとに、2020年6月末時点の株価(203.51ドル)を基準とした予想期待収益率を計算(CAGR)しています。

2030年の予想期待収益率は、PER上限では5.3%、平均では0.3%、下限で-6.4%となりました。

■10年後の予想EPS、予想株価、期待収益率


これまで出てきた数字をまとめています。

2030年は、EPSが7.33ドル、予想株価は、PER上限では342.47ドル、平均では209.4ドル、下限で105.23ドルとなりました。

また、予想期待収益率は、PER上限では5.3%、平均では0.3%、下限で-6.4%となりました。

なお、現在の株価は208.70ドル(2020年8月13日時点)となっており、2013年以降右肩上がりで上昇してきています。



株価はすでに2022年の予想株価(PER上限)あたりまで上がっておりますが、新型コロナウイルスによるこれまでの急ピッチな上昇を受け、ここのところやや軟調な展開となっています。

◆まとめ

今回はマイクロソフトについて、会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを振り返りました。

以前から好調だったクラウド事業に加えて新型コロナウイルスによる特需も追い風となり、業績は拡大しております。

ただ、Azureの成長鈍化やパッとしないFY21Q1ガイダンスなど気になるニュースもここのところ話題となっており、業績もやや一服といったところかもしません。

そのため、この先はこれまでのように一本調子の右肩上がりで株価上昇という訳にはいかない可能性もあります。

しかしながら、社会のデジタル化を進める上では、マイクロソフトの製品群を避けては通れない訳ですし、このことは今後もまだまだ堅いと思われます。

なお、現在の株価に割安感はほぼありませんが、ちょうど1年前も同じようなことを言っていた訳ですから、大きく調整した場合は、絶好の押し目買いのチャンスとなるかもしれません。

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