【PG】銘柄分析|FY20通期|プロクター&ギャンブル(P&G)はブランドの女王|The Procter & Gamble Companyの10年後予想株価・予想期待収益率


ポイント

  • プロクター&ギャンブル(PG)の2030年の予想株価は、PER上限では383.8ドル、平均では157.8ドル、下限で111.9ドル
  • 2030年の予想期待収益率は、PER上限では12.4%、平均では2.8%、下限で-0.7%
  • 新型コロナ特需により業績は大きく成長。FY21ガイダンスも安定的な成長を見込む。

こんにちは、ゆきのすけ(@yukinosuke35)です。

本記事では、2020年通期決算が公表されたP&Gの会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを確認します。

◆会社概要

紙おむつから洗剤、化粧品に至るまで高品質なブランド群を有する世界最大の日用品メーカーです。

主な年表は次のとおりです。

■年表

※[ ]は主なブランド名
1837年 William ProcterとJames Gambleによって設立
1879年 アイボリー石鹸発売
1946年 洗剤[タイド]発売
1961年 柔軟剤[ダウニー]、紙おむつ[パンパース]発売
1965年 ペーパータオル[バウンティ]発売
2005年 ジレット[ジレット、ブラウン]を570億ドルで買収
2009年 ワーナーチルコットに処方薬事業[骨粗しょう症薬アクトネルなど]を31億ドルで売却
2012年 ポテトチップスの[プリングルズ]を26.9億ドルで米ケロッグへ売却
2014年 ペットフード事業[アイムスなど]を29億ドルでマースへ売却
2014年 保有ブランド再編を発表
2015年 デイビッド・テイラーがCEOに就任
2016年 電池部門「デュラセル」を45億ドル(自社株返却)でバークシャーハサウェイに売却
2016年 米コティに美容製品の43ブランド[ヘアケアのウエラなど]を125億ドルで売却
2018年 トライアン・ファンド・マネジメントのN.ペルツ氏が取締役に就任
2018年 独メルクの消費者向けヘルスケア事業[Neurobionなど]を42億ドル(34億ユーロ)で買収

■ビジネスセグメント

P&Gの各ビジネスセグメントとその構成要素、主なブランドをまとめておきます。(Annualreport2020及びForm 10-K より)

Beauty>(ビューティー)[19%,21%]

※カッコ内の数字左はFY20売上高に占める%、右はFY20純利益に占める%(=[売上高に占める%、売上高に占める%])

Hair Care:コンディショナー、シャンプー、トリートメント、スタイリング
[主なブランド]ヘッドアンドショルダーズ(Head & Shoulders)、パンテーン(Pantene)、ハーバルエッセンス(Herbal Essences)、リジョイス(Rejoice)

Skin and Personal Care :スキンケア、制汗剤、デオドラント、石鹸
[主なブランド]SK-II、オレイ(Olay)、オールドスパイス(Old Spice)、シークレット(Secret)、セーフガード(Safeguard)


<Grooming>(グルーミング)[9%,10%]

Grooming:男性&女性向けカミソリ、髭剃り、シェービング製品
[主なブランド]ブラウン(Braun)、ジレット(Gillette)、ビーナス(Venus)


<Health Care>(ヘルスケア)[13%,12%]

Oral Care :歯ブラシ、歯磨き粉、ホワイトニング等その他口腔ケア
[主なブランド]クレスト(Crest)、オーラルB(Oral-B)

Personal Health Care :胃腸関連サプリ、診断キット、呼吸器関連薬、ビタミン・ミネラルサプリ、痛み止め、など
[主なブランド]メタムシル(Metamucil)、ニューロバイオン(Neurobion)、ペプトビスモル(Pepto Bismol)、ヴィックス(Vicks)


<Fabric & Home Care>(ファブリック&ホームケア)[33%,31%]

Fabric Care:洗濯洗剤、柔軟剤など
[主なブランド]アリエール(Ariel)、ダウニー(Downy)、ゲイン(Gain)、タイド(Tide)

Home Care:食器用洗剤、台所用洗剤、消臭除菌剤、業務用洗剤、フロアモップなど
[主なブランド]カスケード(Cascade)、ドーン(Dawn)、フェアリー(Fairy)、ファブリーズ(Febreze)、ミスタークリーン(Mr. Clean)、スイッファー(Swiffer)


<Baby, Feminine &Family Care>(幼児、女性&家庭向け用品)[26%,26%]

Baby Care :おしりふき, 紙おむつ
[主なブランド]ラブズ(Luvs)、パンパース(Pampers)

Feminine Care :生理用品などの女性用ケア用品
[主なブランド]オールウェイズ(Always)、オールウェイズディスクリート(Always Discreet)、 タンパックス(Tampax)

Family Care :ペーパータオル、ティッシュ、トイレットペーパー
[主なブランド]バウンティ(Bounty)、チャーミン(Charmin)、パフス(Puffs)



続いて財務分析です。

◆財務分析

■売上高&売上高成長率


売上高は2016年を底にゆるやかな回復が続いています。
直近2020年は新型コロナ特需もあり、対前年比+4.8%成長の約710億ドルとなっています。

前述のビジネスセグメント別及び地域別の売上高です。

(出所)Annual Report2020より

ビジネスセグメントではファブリック&ホームケアが33%で第1位、地域別では北米が47%で第1位です。

■営業利益&営業利益成長率


2020年営業利益は、新型コロナにより対前年比で+13.55%成長でした。

■純利益&純利益成長率



2020年の純利益は130億ドル、対前年比で+234.28%成長でした。
なお、2019年に大きく減少しているのはジレット関連の減損処理費用(83憶ドル)のためです。

■粗利益率&営業利益率


2020年の粗利益率、営業利益率は50.3%、22.1%となり、前年より改善する結果となりました。

■キャッシュフロー


営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー、投資キャッシュフローともに安定的に推移しており、問題ありません。

■株数、株数(2011年=100)


自社株買いにより2011年から2020年で約13%減となっています。
2020年は74億ドル(一株当たり換算で約2.8ドル)、2019年は50億ドル、2018年は70億ドルの自社株買いを実施しています。

■配当、配当性向、配当増加率



2020年の増配率は約4.5%で、配当性向は60%~70%で推移してます。

2020年は78億ドル、2019年は75億ドル、2018年は73億ドルを株主配当しています。

■バランスシート 総資産(%)




バランスシート全体を100%としたときの、流動資産(Currnet Assets:ピンク)と固定資産(Non-Current Assets:青)の構成比です。

2020年は流動資産が約2割、固定資産は約8割を占めています。

流動資産は主に現金等(Cash & Short-Term Investments)となっています。

固定資産は主に無形資産(Intangible)と有形固定資産(Net PP&E)となっています。
無形資産(Intangible)は過去の大型M&Aによるのれん代が積み重なっています。

■バランスシート 負債及び株主資本(%)




同様にバランスシート全体を100%としたときの、負債(ピンク)と株主資本(青)の構成比です。

長期負債(Long-Term-Debt)は約20%で増加傾向、短期負債は10%弱で横ばいに推移しています。

◆10年後予想株価

■EPS&EPS成長率(実績)




2011年から2020年のEPS成長率を指数で近似しています。
EPS成長率は2.6%ルとしています。(かなり甘めの予測です。。。)

■今後のEPSの推移(予想)



先ほど計算したEPS増加率が今後も続くと仮定した場合の予想EPSの推移です。

計算したところ2030年の予想EPSは4.34ドルという結果になりました。

■過去のPER(実績)

過去10年の実績PERの上限、平均、下限は次のとおりでした。

<PER上限> PER=79.6
<PER平均> PER=27.5
<PER下限> PER=16.9

■予想株価



予想EPSに実績PER(上限、平均、下限値)をかけて計算した予想株価の推移です。

2030年の予想株価は、PER上限では383.8ドル、平均では157.8ドル、下限で111.9ドルとなりました。

■予想期待収益率



先ほど計算した予想株価をもとに、2020年6月末時点の株価(119.57ドル)を基準とした予想期待収益率を計算(CAGR)しています。

2030年の予想期待収益率は、PER上限では12.4%、平均では2.8%、下限で-0.7%となりました。

■10年後の予想EPS、予想株価、期待収益率


これまで出てきた数字をまとめています。

2030年は、EPSが4.34ドル、予想株価は、PER上限では383.8ドル、平均では157.8ドル、下限で111.9ドルとなりました。

また、予想期待収益率は、PER上限では12.4%、平均では2.8%、下限で-0.7%となりました。

なお、現在の株価は138.14ドル(2020年9月12日時点)で、2018年底値(66.32ドル)からほぼ倍となっております。



その他、FY21ガイダンスによれば、FY21通期の予想売上高は+1%~+3%、予想EPSは+6%~+10%、配当は80億ドル、自社株買いは60~80億ドル、実効税率は18~19%を見込んでいるとのことでした。

◆まとめ

今回はP&Gについて、会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを振り返りました。

以前から傘下ブランドの選択と集中を行っており、業績が安定的に上向き始めたころに新型コロナウイルスによる特需という偶然とはいえ、なんとも素晴らしいタイミングとなっています。(余談ですが、そういう意味ではディズニー(DIS)のストリーミング事業の戦略転換の遅れがやや裏目に出ている感は否めないですね。)

また、FY21ガイダンスによれば来期も特に心配する要因は現時点ではなさそうです。

思い起こせば、2016~17年頃にはP&Gの将来性に懐疑的だった投資家も多く、株価も低迷していた訳ですが、結果的には企業の底力で切り抜けたところは、さすがP&Gではないでしょうか。

ただ、ここのところ株価は2018年以降一本調子の右肩上がりできていますので、この先もこのペースで上がり続けるのはやや楽観的過ぎると思います。

しかしながら、的確で迅速なブランド戦略など経営の素晴らしさが際立つ企業がP&Gですから、大きく調整した際は拾っていきたい銘柄の一つではないでしょうか。

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