ポイント
- S&Pグローバル(NYSE:SPGI)の2029年の予想株価は、PER上限ではPER上限では925.1ドル、平均では663.5ドル、下限で416.7ドル
- 2029年の予想期待収益率は、PER上限では13.0%、平均では9.3%、下限で4.3%
- 新規債券発行が増加したこともあり、足元の業績は好調
こんにちは、ゆきのすけ(@yukinosuke35)です。
本記事では、S&Pグローバルの会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを確認します。
◆会社概要
米国の金融情報サービス大手。主力の信用格付け事業はS&Pグローバル、ムーディーズ、フィッチの大手3社により寡占。その他、S&P500インデックスなどのベンチマーク提供事業も好調。
主な年表は次のとおりです。
■年表
■ビジネスセグメント
S&Pグローバルの開示ビジネスセグメントは次のとおりです。(Form 10-K より)
・Ratings :債権等の信用格付け、調査、分析業務
・Market Intelligence :金融専門家向けにデータ、分析レポート、ツール等を提供
・Platts:商品及びエネルギー市場の価格データ、分析レポート情報等を提供
・Indices:S&P500インデックスなどの各種ベンチマークを提供及び連動手数料
■セグメント別売上高(構成比)
■セグメント別売上高(2017=100)
2017年と比べるとIndicesが約1.3倍と大きく伸びており、続いてMarket Intelligenceが約1.2倍、Plattsが約1.1倍、Ratingsが約1.05倍となっています。
続いて財務分析です。
◆財務分析
- ソースはいずれもモーニングスターUSからです。
- 予想利益の数値等は税引き前の理論値です。
- 将来予測の計算方法は「億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術」(日本経済新聞出版社)を参考にしています。詳細は「将来予想株価の計算方法に関するメモ」にまとめています。
- 各種チャートは筆者作成です。
- チャート横軸の西暦は会計年度(FY)です。
■売上高&売上高成長率
※2012年にセグメントの一つであった教育部門のMcGraw–Hill Education(MHE)を25億ドルでアポロ・グローバルマネジメントへ売却。その後、部門再編。2010年及び2011年値はMHEを含んだ値となっていますのでご注意ください。(以下同様)
■営業利益&営業利益成長率
■純利益&純利益成長率
純利益も右肩上がりのトレンドとなっています。
なお、2014年はサブプライムローンに絡んだ和解金約16億ドルの支払い(特殊要因)により大きく減少しています。
■粗利益率&営業利益率
2019年の粗利益率、営業利益率は73.1%、47.4%という素晴らしい数字のうえ、上昇傾向で推移しています。
■キャッシュフロー
2016年以降、営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローともに力強く増加傾向となっています。
■株数、株数(2010年=100)
自社株買いにより2010年から2019年で約2割減となっています。
2019年は12億ドル、2018年は17億ドル、2017年は10億ドルの自社株買いを実施しています。
■配当、配当性向、配当増加率
2019年の配当成長率は14%、配当性向は約30%となっています。配当性向はまだまだ低く抑えられていますね。
■バランスシート 総資産(%)
バランスシート全体を100%としたときの、流動資産(Currnet Assets:ピンク)と固定資産(Non-Current Assets:青)の構成比です。
2019年は流動資産が約4割、固定資産は約6割を占めています。
流動資産は主に現金等(Cash & Short-Term Investments)、固定資産は主に無形固定資産(Intangibles)となっています。
■バランスシート 負債及び株主資本(%)
同様にバランスシート全体を100%としたときの、負債(ピンク)と株主資本(青)の構成比です。
直近2019年の長期負債(Long-Term-Debt)は約35%、短期負債は0%となっています。
2014年以降、M&Aにより長期負債が増加しているものと思われます。
◆10年後予想株価
■EPS&EPS成長率(実績)
2010年から2019年のEPS成長率をCAGRで計算したところ、EPS成長率は13.9%となりました。
■今後のEPSの推移(予想)
先ほど計算したEPS成長率が今後も続くと仮定した場合の予想EPSの推移です。
計算したところ2029年の予想EPSは27.26ドルという結果になりました。
■過去のPER(実績)
過去10年の実績PERの上限、平均、下限は次のとおりです。
<PER上限> PER=32.4
<PER平均> PER=22.8
<PER下限> PER=13.7
■予想株価
予想EPSに実績PER(上限、平均、下限値)をかけて計算した予想株価帯の推移です。
2029年の予想株価は、PER上限では925.1ドル、平均では663.5ドル、下限で416.7となりました。
■予想期待収益率
先ほど計算した予想株価をもとに、2019年12月末時点の株価(273.05ドル)を基準とした予想期待収益率を計算(CAGR)しています。
2029年の予想期待収益率は、PER上限では13.0%、平均では9.3%、下限で4.3%となりました。
■10年後の予想EPS、予想株価、期待収益率
これまで出てきた数字をまとめています。
現在の株価は323.63ドル(2020年12月30日)で、2010年から約10倍となっており、過去10年は素晴らしいパフォーマンスだったことがわかります。
現時点では他のハイテク銘柄に比べると比較的割安だと思われます。
■ガイダンス
FY20Q3時点のFY20通期ガイダンスの主なものは以下のとおりです。
EPSは10.00ドル~10.15ドル、売上高は1桁後半の成長率、営業利益率は50.5%~51.5%、税率は20.5%~21.5%、DPSは2.68ドルを見込んでいます。
◆まとめ
本記事ではS&Pグローバルについて、会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを確認しました。
寡占状態の信用格付け事業をコアに据えながら、ここのところの投資ブームの影響を受け、インデックス部門も大きく伸びる盤石な体制となっております。
また、直近FY20Q3決算によればパンデミックの最中でも、新規債券発行が増加したため、足元の業績は好調と報告されています。
結果的には新型コロナの影響はほとんどないと思われます。
さらに、各事業の収益性はとても高いうえ、利益率もじりじりと増加しており、研究開発費&設備投資などのコストはほとんどかからない素晴らしい収益構造となっています。
このように考えると、ワイドモート銘柄といっても過言ではないでしょう。
今後のパンデミックの状況はやや気になるものの、安定した数字の読めるビジネスですから、影響はほとんど関係ないと考えています。
次の10年も非常に楽しみな銘柄ではないでしょうか。
ご一読くださりありがとうございました。
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