【TMO】銘柄分析|FY19通期|サーモ・フィッシャー・サイエンティフィックは科学機器・試薬等の世界的企業|Thermo Fisher Scientific Inc.の10年後予想株価・予想期待収益率


ポイント

  • サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(NYSE:TMO)の2029年の予想株価は、PER上限では955.5ドル、平均では734.0ドル、下限で446.9
  • 2029年の予想期待収益率は、PER上限では11.4%、平均では8.5%、下限で3.2%
  • 足元の業績は絶好調でガイダンスも上方修正

こんにちは、ゆきのすけ(@yukinosuke35)です。

本記事では、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィックの会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを確認します。

◆会社概要

世界のさまざまな分野の基礎・応用研究、製品開発、品質管理・保証、安全保障から医療、製薬・バイオ医薬に欠かすことのできない製品及びサービスを提供。本社は米国マサチューセッツ。従業員数は約7.5万人。

主な年表は次のとおりです。

■年表

1902年 フィッシャー・サイエンティフィック設立
1956年 サーモ・エレクトロン設立
2006年 フィッシャー・サイエンティフィックとサーモ・エレクトロン合併
2009年 マーク・N・キャスパーがCEOに就任
2011年 Phadia(アレルギーおよび自己免疫疾診断)を35億ドルで買収
2013年 Life Technologies Corporation(DNA解析・遺伝子検査)を136億ドルで買収
2015年 AdvancedScientificsを3億ドルで買収
2016年 Affymetrixを13億ドルで買収
2016年 MTI-GlobalStemを買収(価格非公表)
2016年 FEI Company(電子顕微鏡)を42億ドルで買収
2017年 Patheon(製薬&バイオテック)を72億ドルで買収
2018年 Becton, Dickinson and Company (BD) のバイオプロセシング事業を買収
2019年 Brammer Bio(遺伝子治療)を17億ドルで買収
2020年 Qiagen(分子診断)を101億ドルで買収

■ビジネスセグメント

サーモ・フィッシャー・サイエンティフィックの開示ビジネスセグメントは次のとおりです。(Form 10-K より)

・Life Sciences Solutions:バイオサイエンス、遺伝科学など

・Analytical Instruments:クロマトグラフィー、質量分析、材料&構造分析など

・Specialty Diagnostics:臨床診断、免疫診断、微生物学製品など

・Laboratory Products and Services:ラボ用装置&消耗品、ラボソフトウェアなど


■セグメント別売上高(構成比)


売上高に占める割合では、上から順にLaboratory Products and Servicesが約40%、Life Sciences Solutionsが約25%割、Analytical Instrumentsがそれぞれ約20%、Specialty Diagnosticsが約15%割となっています。

■セグメント別売上高(2016=100)


2016年と比べるとLaboratory Products and Servicesが約1.6倍、Analytical Instrumentsが約1.5倍、Life Sciences Solutionsが約1.3倍、Specialty Diagnosticsが約1.1倍となっています。

特に、Laboratory Products and ServicesとAnalytical Instrumentsの伸びが顕著です。


続いて財務分析です。

◆財務分析


■売上高&売上高成長率


■営業利益&営業利益成長率


■純利益&純利益成長率


売上高、営業利益、純利益いずれも右肩上がりのトレンドとなっています。


■粗利益率&営業利益率


2019年の粗利益率、営業利益率は44.4%、16.4%、営業利益率は2010年から約4%ポイント上昇しています。


■キャッシュフロー


営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローともに安定的に増加傾向となっています。


■株数、株数(2010年=100)


積極的なM&Aもあり、自社株買いには消極的です。


■配当、配当性向、配当増加率




2012年から配当開始。2019年の配当成長率は12%、配当性向は約8%となっています。配当性向はかなり低いですね。

■R&D


売上高に占めるR&Dの割合です。

2019年は約4%で過去10年間を見ても2%~4%とかなり低いレンジで推移しています。

競争の激しいビジネスカテゴリだと思っていましたが、この低さを見るに消費者独占的な地位にいることが伺えるのではないでしょうか。

参考までにジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)のグラフも載せておきます。


■バランスシート 総資産(%)



バランスシート全体を100%としたときの、流動資産(Currnet Assets:ピンク)と固定資産(Non-Current Assets:青)の構成比です。

2019年は流動資産が約2割、固定資産は約8割を占めています。

特に、積極的なM&Aもあり固定資産の無形固定資産(Intangibles)が大部分を占めています。


■バランスシート 負債及び株主資本(%)




同様にバランスシート全体を100%としたときの、負債(ピンク)と株主資本(青)の構成比です。

直近2019年の長期負債(Long-Term-Debt)は約30%、短期負債はほぼ0%となっています。

こちらも積極的なM&Aの影響により長期負債は増加となっているものの、ここのとこは減少傾向となっています。


◆10年後予想株価

■EPS&EPS成長率(実績)



2010年から2019年のEPS成長率を指数で近似したところ、EPS成長率は13.4%となりました。


■今後のEPSの推移(予想)


先ほど計算したEPS成長率が今後も続くと仮定した場合の予想EPSの推移です。

計算したところ2029年の予想EPSは25.74ドルという結果になりました。

■過去のPER(実績)

過去10年の実績PERの上限、平均、下限は次のとおりです。

<PER上限> PER=36.5

<PER平均> PER=27.9

<PER下限> PER=16.8

■予想株価



予想EPSに実績PER(上限、平均、下限値)をかけて計算した予想株価帯の推移です。

2029年の予想株価は、PER上限では955.5ドル、平均では734.0ドル、下限で446.9となりました。

■予想期待収益率


先ほど計算した予想株価をもとに、2019年12月末時点の株価(324.87ドル)を基準とした予想期待収益率を計算(CAGR)しています。

2029年の予想期待収益率は、PER上限では11.4%、平均では8.5%、下限で3.2%となりました。

■10年後の予想EPS、予想株価、期待収益率


これまで出てきた数字をまとめています。


現在の株価は509.70ドル(2021年1月29日)で、2010年から約10倍となっており、過去10年は素晴らしいパフォーマンスだったことがわかります。現在の株価はやや割高ですね。


◆まとめ

本記事ではサーモ・フィッシャー・サイエンティフィックについて、会社概要、財務分析、10年後予想株価、期待収益率などを確認しました。

足元の業績は、リアルタイムPCRシステムをはじめとする新型コロナ関連機器及び試薬、テストキットなどが絶好調なうえ、既存製品も好調であり、現時点での死角はほぼなしと思われます。

そのため、先日1月11日にはFQ4の予想売上高成長率をこれまでの~40%から~50%に、FY20は~22%から~25%にガイダンスの上方修正アナウンスがありました。(8-K

FQ4決算も素晴らしい数字だと予想しています。

現行のパンデミック特需はこの先どこかのタイミングで落ち着くとは思いますが、新型コロナはインフルエンザのように毎シーズン売上高が立つ息の長いビジネスとなる可能性も残っている訳ですから、サーモ・フィッシャーはとてもいいポジションにいると思っています。

ここのところ華やかなワクチンの話題が多いですが、地味であっても医薬に必要不可欠な製品を作っているサーモ・フィッシャーのような会社を個人的には気に入っております。

次の10年も非常に楽しみな銘柄ではないでしょうか。

ご一読くださりありがとうございました。


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