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こんばんは、Yukinosuke です。
今回は、日本銀行(日銀)が買い入れしている日本株ETFについて、メディア等でも頻繁に報道されている内容でもあるので、現在の状況等を簡単にまとめてみたいと思います。
まず、日銀は、物価安定目標であるインフレ率2%を達成する手段の1つとして、日本株ETFを2010年以降、大量に買い入れしています。
日銀がこれまでに買い入れたETFの残高は2018年3月末時点で約19兆円となっています。
東証の時価総額は、2018年3月末時点で約660兆円なので、約4%は日銀が保有していることになります。
当初の買い入れ額は、年数百億円程度でしたが、13年の異次元の量的緩和以降は、年1兆円程度に増額し、その後さらに段階的に増えて現在は年約6兆円の規模となっています。
2017年中でみると、この年の東証全体のETF取引額は約39兆円だったことから、そのうち約14%(6兆円) は日銀が買い入れている計算となっています。
(出所)日本取引所グループ、日本銀行 より作成
もう少し詳細にみると、月によりばらつきはあるものの、月平均約5,000億円、直近の2018年6月では一回あたり約730億円を9回程度に分けて買い入れしています。
また、今年2月の米国株の急落を受け、日経平均やトピックスが下落した際でも、これまでと同じペースで、2月中は約6000億円程度買い入れしているので、何らかのイベントごとにはあまり反応せず淡々と買い入れしているような印象を受けます。
参考までに、GPIFの日本株での運用額は、18年3月末時点で、運用資産全体の約25%の約41兆円となっています。
このようにみると、現時点で日銀はGPIFに次ぐ日本株の大口運用者であり、日本の相場を牽引している機関のひとつであることは間違いありません。
ある意味で今の日本マーケットは、「官製相場」であると言えるのではないでしょうか。
なお、日銀が買い支えているというメッセージは強烈なようで、今の日経平均やトピックスは、これまでなら大きく下げそうなところでも、なかなか下がらない、もしくは急落しない相場であるような印象を個人的には受けています。(逆にいうと、上がりも鈍い。)
実際、日経平均ボラティリティ-・インデックスをみると2010年以降、相場環境の影響にもよるところはありますが、低減傾向であることがわかります。
しかし、買い入れたETFはいつかは売却しないといけないわけで、このまま日銀が多くの日本株の大株主という異常事態のままというわけにはいかないと思います。
日銀の見解によると、19年度頃に物価目標が達成されると考えているようなので、出口戦略(テーパリング)は20年度以降の可能性が高いと思われます。
(参考)ブルームバーク「黒田総裁:物価2%を実現するまで適切な金融緩和を続けていく」
ただ、その場合でも、マーケットに影響がでないように(下がらないように)慎重にタイミングを見計らい、時間をかけて売却することが予想されます。
いずれにしても、この日銀の一挙手一投足に世界中のプロ投資家が注目し、利益の機会を狙っている訳ですから、素人には手出し無用という点は認識しておいた方がよいかもしれません。
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ポイント
- 日銀は、物価安定目標であるインフレ率2%を達成する手段の1つとして、日本株ETFを2010年以降、大量に買い入れしている。
- 2017年中の東証全体のETF取引額は約39兆円だったことから、そのうち約14%(6兆円) は日銀が買い入れている計算となる。
- そのため、日銀はGPIFに次ぐ日本株の大口運用者であり、日本の相場を牽引している機関のひとつであることは間違いない。
- 2020年以降に出口戦略(テーパリング)が始まることが想定されるが、世界中のプロ投資家がこれに注目しているので、素人には手出し無用という点は認識しておいた方がよい。
こんばんは、Yukinosuke です。
今回は、日本銀行(日銀)が買い入れしている日本株ETFについて、メディア等でも頻繁に報道されている内容でもあるので、現在の状況等を簡単にまとめてみたいと思います。
まず、日銀は、物価安定目標であるインフレ率2%を達成する手段の1つとして、日本株ETFを2010年以降、大量に買い入れしています。
日銀がこれまでに買い入れたETFの残高は2018年3月末時点で約19兆円となっています。
東証の時価総額は、2018年3月末時点で約660兆円なので、約4%は日銀が保有していることになります。
当初の買い入れ額は、年数百億円程度でしたが、13年の異次元の量的緩和以降は、年1兆円程度に増額し、その後さらに段階的に増えて現在は年約6兆円の規模となっています。
2017年中でみると、この年の東証全体のETF取引額は約39兆円だったことから、そのうち約14%(6兆円) は日銀が買い入れている計算となっています。
■東証全体のETF売買代金に占める日銀の買入額と割合(内国分)
もう少し詳細にみると、月によりばらつきはあるものの、月平均約5,000億円、直近の2018年6月では一回あたり約730億円を9回程度に分けて買い入れしています。
また、今年2月の米国株の急落を受け、日経平均やトピックスが下落した際でも、これまでと同じペースで、2月中は約6000億円程度買い入れしているので、何らかのイベントごとにはあまり反応せず淡々と買い入れしているような印象を受けます。
参考までに、GPIFの日本株での運用額は、18年3月末時点で、運用資産全体の約25%の約41兆円となっています。
■GPIFの運用資産額(2018年3月末時点)
(出所)年金積立金管理運用独立法人(GPIF)よりこのようにみると、現時点で日銀はGPIFに次ぐ日本株の大口運用者であり、日本の相場を牽引している機関のひとつであることは間違いありません。
ある意味で今の日本マーケットは、「官製相場」であると言えるのではないでしょうか。
なお、日銀が買い支えているというメッセージは強烈なようで、今の日経平均やトピックスは、これまでなら大きく下げそうなところでも、なかなか下がらない、もしくは急落しない相場であるような印象を個人的には受けています。(逆にいうと、上がりも鈍い。)
実際、日経平均ボラティリティ-・インデックスをみると2010年以降、相場環境の影響にもよるところはありますが、低減傾向であることがわかります。
■日経平均ボラティリティー・インデックス(10年)
(出所)日経平均プロフィル-日経の指数公式サイト- より日銀の見解によると、19年度頃に物価目標が達成されると考えているようなので、出口戦略(テーパリング)は20年度以降の可能性が高いと思われます。
(参考)ブルームバーク「黒田総裁:物価2%を実現するまで適切な金融緩和を続けていく」
ただ、その場合でも、マーケットに影響がでないように(下がらないように)慎重にタイミングを見計らい、時間をかけて売却することが予想されます。
いずれにしても、この日銀の一挙手一投足に世界中のプロ投資家が注目し、利益の機会を狙っている訳ですから、素人には手出し無用という点は認識しておいた方がよいかもしれません。
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