ポイント
- 多くの収入があっても、その分出費が多ければ、資産形成は難しい。
- 自身の所得にあった生活水準を心がけ、普段から質素倹約に励み、予算の範囲内で支出をコントロールすることがとても重要。
- 住宅ローンは年収の2倍以内が目安。
こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。
今回は、「となりの億万長者 ― 成功を生む7つの法則〔新版〕」(トマス・J・スタンリー著、ウィリアム・D・ダンコ著、斎藤聖美訳/早川書房)より、私自身がとても参考になった点を簡単にですがまとめておきたいと思います。
本書については、以前から読みたいと思っていたのですが、アマゾン・マーケットプレイスやメルカリなどで、中古価格をこまめにチェックはしていたものの、なかなか値段が下がらず、先日ようやく手に入れることができました。(その他、バフェット太郎さんの本もチェックしていますが、これも人気でなかなか下がりませんね。貧乏性ですいません。)
読後の感想としては、本書はアメリカの億万長者データに裏付けられた話が主ではあるものの、日本に置き換えても十分に通用する内容で、中古でも値段が高止まりしているのも納得です。
やはり、億万長者というものは万国共通なようで、私も愛読しております名著「私の財産告白」(本多静六著/実業之日本社)とも通ずるものが多々あると感じました。
さて、前置きはこのぐらいにして、具体的に本で取り上げられていた点をいくつか見ていきたいと思います。
◆あなたはの期待資産額は?
本書ではまず年齢に応じた資産額の目安が「期待資産額」として紹介されています。具体的な期待資産額は、非常にシンプルな次の計算式で求められます。
期待資産額 =(税引前)年間家計年収 × 年齢 × 1/10
※ただし、親からの遺産相続額等は除く。例えば、45歳で年収750万円の場合の期待資産額は次のようになります。
期待資産額 = 750万円×4.5(45歳×1/10)= 3375万円
この場合、親からの相続などを除いた額で3375万円の資産が45歳時点には必要ということで、もしこの金額に届かない場合は、「蓄財劣等生」ということになり、ライフスタイル等を見直さないと資産家への道のりは厳しいということになります。
では、次に、日本の平均的な家計ではどのようになっているのかを見てみたいと思います。
データは家計調査からです。
このデータによると、例えば40~49歳(平均年齢は45歳)の世帯では、年収が762万円で、株式等を含んだ貯蓄額は1074万円、貯蓄年収比(貯蓄/年収)は140.9となっています。
先ほどの期待資産額によると、45歳で年収750万円の場合の期待資産額は3375万円なので、45歳の平均的な日本の家計では約2300万円(3375万円-1074万円)ほど期待資産からは不足していることがわかります。
※家計調査の貯蓄額には、遺産相続額もある程度は含まれているはずなので、実際にはもう少し開きがあると思います。
なお、参考までに60歳~69歳の世帯でみた場合、家計調査では年収582万円、貯蓄額2382万円、貯蓄年収比(貯蓄/年収)は409.3となっており、中間65歳の期待資産額は、3783万円(582万円×6.5)なので、この場合でもまだ約1400万円ほど開きがあります。
つまり、平均のままではいつまでたっても蓄財劣等生のままで、期待資産額を達成するためには、平均以上の努力が必要だということに他なりません。
次は住宅ローンについてです。
◆住宅ローンは年収の2倍以内が目安
本書によれば、資産家になりたい場合、年収の2倍以上の住宅ローンを組んではいけないと断言しています。では、先ほどと同じく家計調査から日本の平均的な場合を見てみます。
(出所)家計調査報告より筆者抜粋
これによると、住宅ローンが多く組まれる40歳未満の年齢層でみた場合、平均して1783万円の住宅関連負債(借入)があることが分かります。
※住宅ローンについては、金融機関等の貸し手側が調査している借入総額などもあるのですが、今回は簡単のために家計調査の負債額を使っています。
そして、先ほどの年収の資料によれば、この40歳未満の年齢層の年収は598万円ですので、計算すると年収の約3倍(1783万円/598万円)のローンを組んでる人が多いことがわかります。
なお、一般的には住宅ローンの平均的な目安は年収の約5倍程度までと言われており、ここで取り上げた2倍とは大きくかい離していることがわかります。
ただ、個人的には年収の5倍の住宅ローンというのは、かなりしんどいイメージがありますので、不動産屋さんの言うことをそのまま鵜呑みにするのは危険ということは頭の片隅に覚えておいた方がよいかもしれません。
◆予算を管理し支出をコントロールする
会社や仕事では予算管理はきちんとしていますが、家庭の多くでは予算管理が行われていないのが実態とのこと。しかし、億万長者の多くは予算管理をきちんと行っており、予算を組み、予算の範囲内で支出をコントロールすることが資産形成ではとても大切であると説明されています。
これができないと資産家への道は険しいということです。
所得から必要な貯蓄額をあらかじめ控除し、その残りで予算を組んで支出をコントロールするという非常にシンプルな方法ですが、現実的にはハードルもそれなりに高いのではないでしょうか。
◆今後の資産運用計画にも時間をかける
多くの資産家は、今後の資産運用計画・研究に平均して月当たり約10時間はかけるそうで、一方、蓄財劣等生の場合は月当たり約5.5時間が平均だそうです。そういえば、W・バフェットも暇さえあれば興味のある企業の財務諸表を読み込んでいるというのを聞いたことがあります。
一昔前であれば定期預金に預けるだけで、それなりの利幅が乗ったのかもしれませんが、現在の日本の超低金利を考えた場合、長期的に定期預金という選択肢はほぼあり得ないと思います。
また、ここ10年での投資環境の改善には目を見張るものがあり、日本だけでなくアメリカやヨーロッパ、新興国、世界全体に投資可能な低コストの投資商品も数多く登場していますので、これらについて勉強し、利用しない手はないのではないでしょうか。
※そういえば、NISAやiDeCO、つみたてNISAなどが登場したのもここ5年以内ですね。
◆まとめ
本書はとてもシンプルに資産形成のポイントをまとめてくれており、多くの収入があっても、その分出費が多ければ、資産を形成することは難しく、まずは、自身の所得にあった生活水準を心がけることが大切であると教えてくれます。また、そのためには、普段から質素倹約に励み、年収の15%以上は必ず貯蓄に回し、予算の範囲内で支出をコントロールすることが、とても重要であると指摘しています。
これらのことは頭では分かっていても、いざ実践するとなると、自分自身をコントロールする必要がありますので、なかなか難しと思います。
しかし、十分な資産形成をせず、経済的自立どころか、いつまでも老後のお金の心配をしながら働き続けるというのも、これはこれで苦痛だと思います。
最終的には、どちらも自由に選択でき、どちらが正解という訳でもありませんが、唯でさえ先の見えない時代ですから、早い段階から資産形成を着実に行っていくことは、とても価値のあることではないでしょうか。
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