「株を買うよりマイホームを買いなさい」は本当か?シュミレーションで確認


ポイント

  • シュミレーションの結果、住宅ローンを組んでマイホームを買う方が、賃貸に住んで投資に回すよりもお得に。
  • ただ、前提条件次第で結果が変わることには注意が必要

こんばんは、Yukinosuke(@yukinosuke35)です。

今回は、私も愛読させていただいております広瀬隆雄さんの「Market Hack」(7月13日付け記事)にて紹介されていた「富のプロセスへの参加」の文末から、「株を買うくらいなら、まずマイホームを買いなさい。」というピーター・リンチの言葉が紹介されており、個人的にもなるほどそのとおりだなと思ったので、具体的にシュミレーションして確認してみました。
※ピーター・リンチ以外の有名人も、同じようなことを言っていたと思いますが思いだせません。。。

検討するパターンとしては、「マイホームをローンにて購入する場合」と「購入せずに賃貸+投資(運用)した場合」の35年後の資産価値、節税額等を非常にざっくりですが見たいと思います。

◆マイホームをローンで購入する場合

例として、4000万円の物件を35年ローンで買うという場合を考えます。
具体的な前提条件は次のとおりです。
  • 年齢:30歳
  • 年収:600万円
  • 扶養:あり
  • 物件価格:4,000万
  • ローン金利:1.4%(フラット35)
  • 返済期間:35年
  • 頭金、ボーナス払い:なし
  • その他、諸経費等は考えません。

この場合の毎月返済額と総返済額は、フラット35にてシュミレーションすると、次のようになります。
  • 返済方法:元利均等型
  • 毎月返済額:12.1万円
  • 総返済額:5,062万円
(出所)フラット35より

住宅ローンを組む最大のメリットは、年末ローン残高の1%を10年間に渡り税額控除できる「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」が使えることです。

今回のケースでの住宅ローン控除額は以下の早見表を参考にすれば、約340万円となることがわかります。
※この金額が所得税等から還付されます。

なお、「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」は、各年最大40万円、10年間で最大400万円までしか控除できないなどの制限はありますが、非常に優遇された税制であることは間違いありません。

(出所)SUUMO「家のお金 総まとめ」より筆者加工抜粋

その他、親等からの贈与等を受ける場合には、贈与税の特例制度などもありますが、ここでは簡単のために住宅ローン減税だけを考えることにします。

最終的に35年後の時点でみると、次のようになります。
  • 資産:マイホーム 2000万円(ローン完済)※購入時(4000万円)の半額と想定
  • 住宅ローン控除額:約340万円
つまり、35年後の65歳時点で、ローンを完済した2000万円の不動産を所有し、340万円の節税(還付)を受けたということになります。


次に、賃貸+投資の場合を考えます。

◆賃貸+iDeCoの場合

上記「マイホーム購入の場合」、毎月返済額は12.1万円なので、ここでは毎月の家賃額を10万円、残りの2.1万円を投資税制でとても優遇されているiDeCo(非課税)にて毎月積立投資すると考えます。

まず、35年間の家賃の支払総額を計算すると、4200万円(10万円×12か月×35年)となります。
※途中の値上げ・値下げ、諸経費等は考慮していません。

次に、iDeCoですが、購入の場合と同じ条件で楽天証券サイトでシュミレーションすると次のとおりとなりました。

■iDeCo の諸条件

  • 年収:600万円
  • 毎月積立額:1.2万円
  • 積立期間:30年
  • 予想利回り:3%

■シュミレーション結果

(出所)楽天証券のiDeCoー節税シュミレーション

結果をみると、節税額が約245万円(約150万円+約94万円)、積立元金と運用益の合計は約1224万円となりました。
※なお、簡単のためにiDeCoの受給額はすべて非課税枠に収まると考えています。

なお、iDeCoは60歳までしか積立できないので、その後の65歳までの5年間については、税引き前利回り4%で運用ができたとし、その場合、約1224万円が最終的には約1432万円となったとしています。

つまり、賃貸+iDeCo の65歳時点の資産等は、次にようになります。
  • 資産:金融資産 約1432万円
  • 節税額:245万円
それぞれを比較すると次にようになります。

■65歳時点でのローン購入と賃貸との差額

  • 資産:ローン購入の方が、約568万円(2000万円ー1432万円)お得
  • 節税額:ローン購入の方が、約95万円(340万円-245万円)お得
このようにみると、ローン購入も賃貸+iDeCoもそれぞれ毎月12.1万円を35年間に渡り支出したと考えられる訳ですが、今回のケースでは、マイホームをローンで購入する場合の方が、65歳時点で保有する資産及びそれまでの節税額のいずれでについても、賃貸+iDeCoの場合よりもお得であることがわかりました。

◆まとめ

今回の結果では、ローンを組んでマイホームを買う方が、賃貸に住んでその残額を投資に回すよりも、お得であることがわかりました。

ただ、前提条件次第で結果が変わることには注意が必要で、例えば、iDeCoの商品については、今回は予想利回り3%と想定しましたが、実際にはもう少しパフォーマンスが優れるものもありますので、運用次第では35年後のマイホーム価格を超える可能性は大いにあると思います。
実際、米国株ETFのVTIでは、15年の年平均リターン(実績)は10%程度もあります。
(参考)楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)でつみたてNISAを開始

また、65歳時点のマイホーム価格は購入価格から50%減の約2000万円としましたが、今後さらなる人口減が想定されるなかで、東京都市部以外では50%以上の減少も普通にあり得ると思います。

さらに、今回は考えませんでしたが、実際には物価変動(インフレ)や自然災害、65歳以降の生活費なども考慮して、シュミレーションする必要があると思います。

いずれにしても、株式投資については多分にリターンが読めないところがありますが、税制が手厚く優遇されている住宅ローンであれば、確実に節税・還元分は読めますので、「株を買うくらいなら、まずマイホームを買いなさい。」というのは真にそのとおりではないでしょうか。

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