ポイント
・ここのところの株価の急落を受け、ディフェンシブ銘柄の中には配当利回りベースでみると投資妙味がでできているものもある。・金利の上昇で売られているのか、それとも潜在的な他の要因で売られているかのリサーチが重要である。
こんばんは、Yukinosuke です。
今回は、ここのところ株価の下落が続く優良ディフェンシブ銘柄について、見てみたいと思います。
まず、ディフェンシブ銘柄の主な特徴をまとめると次のとおりです。
・景気変動の影響を受けにくい
・業績が安定している
・成熟した企業である
・強力なブランドを有している
・配当が安定している
・高配当である など
具体的なセクターとしては、生活必需品、食品、医療品、電気やガス、通信などの社会インフラなどに多いです。
◆では直近の下落率は?
安定したイメージのあるディフェンシブ銘柄ですが、直近の株価の動きだけを見ると「ディフェンシブ銘柄」の面影はやや無くなってしまったような気がします。・2018年年初からの株価下落率(PG、PM、KO、JNJ、T)
(出所)Seeking Alpha
ディフェンシブ銘柄には成熟した企業が多く、大きな成長はあまり見込めない反面、業績は安定しており、莫大なキャッシュを稼ぐことが可能で、それらを継続的に配当金や自社株買いに回しています。
そのため、株式ではあるものの、その安定した配当金により債券的な側面を持つことになります。
・予想配当利回りと米国10年債利回りの推移(2008年1月~)※各年年初時点
※PM(フィリップ・モリス・インターナショナル)はスピンオフの関係で2013年から
(出所)The DRiP Investing Resource Center , FRED | St.Louis Fed より作成
例えば、T(AT&T)は約6%、PM(フィリップ・モリス・インターナショナル)は約5%、PG(プロクター・アンド・ギャンブル)は約4%の配当利回りです。
また、単純には比較できませんが、リーマンショック直後の利回りと同程度のものもあります。
◆株価下落の本当の要因は何か?
ここで注意しないといけない点は、単に金利上昇の影響や相場全体の急落だけで下がっているのか、あるいはその他の要因により下落しているのかという点だと思います。例えば、60年連続増配の配当王銘柄で、強力な世界的ブランドを保持しているP&Gですが、年初からの下落率は-18.96%で 生活必需品セクターETFであるVDC(バンガード・米国生活必需品セクターETF)の-11.06%より、約8%ポイントも下落しています。
特に、P&Gの場合は、ここのところのプライベートブランドとの競争激化により売上高が減少傾向となっていました。
そのため、製品ポートフォリオを再編成し、選択と集中をすすめているところですが、プライベートブランドの製品群との差別化に頭を悩ませていると伝えられています。
(参考)P&G Japan「2017年 アニュアル・リポート」
そのためか、直近のPayout Ratioは73.36%と2015年の84.56%よりは下がっていますが、2010年頃には51.23%と約50%程度だったことを考えると悩ましいところだと思います。
個人的な感覚としても、P&Gに対して質の高い製品(特に、オムツや化粧品、洗剤など)というブランドイメージがありましたが、必ずしもP&Gでないといけないものは、だんだんと減ってきている印象もここのところ受けています。
・P&GのPayout Ratioの推移
(出所)Morningstar
P&Gの経営サイドがどのようにこの難局を乗り越えていくのか、今後見守っていきたいと思います。
◆まとめ
ここのところの株価の急落を受け、配当利回りベースでみると投資妙味がでできているものもありますが、長期金利の上昇、インフレ懸念、貿易戦争、ハイテク規制、好調な企業業績など、これまでとは投資環境が変化し、混沌としてきたことは間違いなさそうです。このため、しばらくの間は相場の荒れ模様が想定されますので、リスク管理&追加投資は慎重に行う必要があると考えています。
特に、ディフェンシブ銘柄であっても金利の上昇で売られているのか、それとも潜在的な他の要因で売られているかのリサーチが重要であることは、個人的にも忘れないようにしたいと思います。
※この見極めが簡単にできれば苦労しませんが・・・。
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