アマゾンマーケットプレイスで見る相場のモメンタム|相場は最終コーナーに入ったか?



サマリー

・日米アマゾンマーケットプレイスで一部の米国株書籍の中古価格推移をみると2017年以降、明らかに高止まりしている傾向が読み取れる。
・国内ではここのところの米国株人気(ブーム化)の影響があると考えられ、米国でも同様の可能性がある。
・この結果だけで相場の最終局面であると判断することはできないが、いずれにしてもしばらくは値動きの荒い相場が続く可能性がある。


こんばんは、Yukinosuke です。

今回は以前から気になっていた「相場のモメンタム」について、個人的に感じている点をまとめてみたいと思います。

まず、「モメンタム」という言葉ですが、この言葉には勢いや方向性という意味があり、投資関連の世界では好んでよく使われている傾向があります。
(参考)野村證券 証券用語解説集「モメンタム(もめんたむ)

モメンタムという意味では2017年は株価が一直線に上昇していく力強い流れがありましたが、長期金利の上昇の影響や1月末の株価急落などもあり、2018年に入り9年目となる景気拡大もここのところは方向感に乏しいような流れとなっています。

特に、先週記事にしたディフェンシブ銘柄については、年初以来大きく売り込まれている銘柄も多く、あまりいい流れとは言えないのではないでしょうか。
-------------------------------------
米国優良ディフェンシブ銘柄の下落は、長期金利の上昇が本当に原因なのか?
-------------------------------------

本題に入る前によく知られている逸話をひとつご紹介したいと思います。

◆靴磨きの少年の話

1929年のある日、ある男性が好景気で湧くニューヨークの街を歩いていた。
道脇のひとりの靴磨きの少年が目にとまった男は、この少年に自分の靴を磨いてもらうことに。
靴磨きの少年は靴を磨き始めるとすぐに、今日の株価の動きや今後の注目株、しまいにはお勧めの証券会社まで流暢に男に話し始めた。
男は靴磨きの少年のマーケットの知識にもびっくりしたが、それよりも靴磨きの少年まで株の話しをすることにとても驚いた。
男は靴磨きを終え家に帰るなりすぐに証券会社へ電話し、自分の持ち株をすべて売り払ってしまった。
それからしばらくした後の1929年10月に世界的な株価の大暴落(世界大恐慌)が起こった。
※この男性とはジョー・ケネディ(JFKの父)と言われています。

この有名なエピソードは、よくバブル崩壊の徴候として取り上げられることが多く、他にもタクシー運転手が株の話をし始めると相場の天井であるなどとも言われます。


◆靴磨きの少年からアマゾンマーケットプレイスへ

前置きが少し長くなりましたが、個人的によく利用するアマゾンマーケットプレースでもこれと似たようなケースを最近感じています。

具体的には以前は1円で売られていたような中古の米国株関連の名著達ですが、2017年の途中頃から価格が明らかに上昇していると感じています。

そこで、ここではアマゾン内の販売価格の推移を追跡できるGoogle Chromeアドインの「Keepa」を使って、具体的に見てみたいと思います。

(参考)Keepa - Amazon Price Tracker - Chrome ウェブストア - Google

まずは、米国株投資本で特に有名な「ウォール街のランダム・ウォーカー」からです。

○「ウォール街のランダム・ウォーカー―株式投資の不滅の真理 (単行本) -2004/4」の中古価格と数量の推移

(上段:中古価格|下段:数量)
※価格は中古品の最低価格で送料抜き。
(出所)Amazon.com(日本)※アマゾンマーケットプレイス、Keepa 
※ページ最後にリンクをまとめています。

2016年~2017年前半頃は1円でも手に入りましたが、2018年5月20日現在の中古品の最低価格は692円(送料抜き)となっています。
ただ、この価格推移を見ると現在がたまたま高止まりしているという程度にも見えます。

次は、アメリカのアマゾンから同一本の原著版です。

○「A Random Walk Down Wall Street: Completely Revised and Updated Edition (Paperback)- – January 1, 2003」の中古価格と数量の推移

(上段:中古価格|下段:数量)
(出所)Amazon.com(US)※アマゾンマーケットプレイス、Keepa

アメリカのアマゾンで見てみると、2017年以降、値上がりしていることが顕著で(在庫)数量も減少しています。
具体的には2016年は0.01ドルでしたが、直近では1.7ドル程度まで上昇しています。
さらに、TVなどで取り上げられたような一時的な上昇ではなく、継続して高止まりしていることも読み取れます。


次も、アメリカのアマゾンから日本でも人気のあるバフェットのスノーボールです。

○「The Snowball: Warren Buffett and the Business of Life Paperback – October 27, 2009」の中古価格と数量の推移

(上段:アマゾン販売価格(オレンジ)、マーケットプレイスの新品価格(紫)、中古価格(黒)|下段:数量)
(出所)Amazon.com(US)※アマゾンマーケットプレイス、Keepa

これを見ると黒線の中古価格は下落することなく安定して推移している一方、紫線のマーケットプレースでの「新品価格」がじりじりと上昇していることが分かります。
2016年中頃は7ドル程度でしたが、直近では10ドル程度まで上昇しています。

最後に、日本のアマゾンに戻ってこちらも人気のある「敗者のゲーム」です。

○「敗者のゲーム―なぜ資産運用に勝てないのか 単行本 – 1999/4」の中古価格と数量の推移

(上段:中古価格|下段:数量)
(出所)Amazon.com(日本)※アマゾンマーケットプレイス、Keepa

こちらも2017年以降、明らかに価格の上昇が目につきます。
また、(在庫)数量も2016年に比べると、売れ行き好調なのか全体的に減っています。
2016年は1円でも購入できましたが、直近では200円台で推移しています。

なお、上記で取り上げた本はいずれも当時べストセラーとなったもので、販売から10年程度は経過しており、中古品として出回るものも相当数あると思われます。
また、スノーボール以外は新版でも発売もされているいわゆる型落ち中古品のため、何か特別な要因がないと基本的には時間とともに価格は下落するのが自然と思われます。

◆まとめ

今回はアマゾンマーケットプレイスで販売されている米国株関連書籍のうち、いわゆる名著といわれるものの中古価格の推移を見ました。

すべての本について同じようなことが言えるわけではありませんが、今回取り上げた本についてみると、2017年以降、価格が継続してやや高止まりしていると思われますし、私の個人的な感覚も同じです。

もしかすると、ここのところTVや雑誌でも米国株が頻繁に取り上げられ、以前にも増して多くの投資家が新たに登場していることがその一因なのかもしれません。
なお、米国のTVや雑誌での様子はよくわかりませんが、今回取り上げた価格推移をみると同じような雰囲気が読み取れます。

1929年の靴磨きの少年のエピソードと重なるかは分かりませんが、今回ご紹介したデータだけをみると、2017年の力強い上昇相場を経てもしかすると相場は完成に近づいている(あるいは、完成した)とも思えてしまいます。

いずれにしても、すぐに大暴落ということはなさそうですし、相場の最終局面ともまだ判断はできませんが、このように相場のブーム化の兆候がでると上昇と急落を繰り返す荒い相場が続く可能性が高まりますから、まだまだ相場の乱高下は続くと想定しておいた方がよいかもしれません。

励みになりますので応援のクリックをお願いいたします。
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

◆関連記事:

米国優良ディフェンシブ銘柄の下落は、長期金利の上昇が本当に原因なのか?
貿易戦争はトランプ大統領の「プロレス」ではあるが、想定外の事態が起こる可能性も
2017年のバークシャー・ハサウェイの現金等比率はリーマン・ショック後の最高値を更新 
米ドル建てMMFの利回りがじりじり上昇中
米国長短金利差(金利スプレッド)とリセッション

(参考)今回取り上げた投資関連図書です。<いずれも旧版ですのでご注意ください。>

コメント